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ハリー・ポッターと闇の姫君

第28章 【憂いの篩】


 ダンブルドアは杖をクリスのこめかみに当てると、そこから白くて光り輝く糸の様な物を引っ張り出した。そしてそれを『憂いの篩』の中に入れると、篩の表面が一瞬銀色に光り、ぼんやりとクリスの顔を写した。すると不思議な事に、心の中から何かがスーッと抜けていく様な気分がした。

「先生、これって――」
「君の『憂い』じゃよ。気になったらまた覗きに来ると良い。頭の中を整理する時、これ以上役にたつ道具はない。それまで校長室の合言葉は変えんでいよう。さて――本題はこれではないのだろう?」
「そうだ!僕、あの――ついさっき『占い学』で、えっと――その、居眠りをしてしまって……」

 ハリーは言い辛そうにしていたが、ダンブルドアは気にもとめず、『憂いの篩を』ゆすって、中から銀色の糸の様な物を吟味していた。

「まあ学生に居眠りはつきものじゃ。続けなさい」
「はい――。それで、夢を見たんです。ヴォルデモートの夢です。ワームテールを……拷問していました。だけど間一髪のところで失態は償われたとか、なんとか。それで、誰かが死んだと言っていました。だからワームテールを――ナギニ、とか呼んでいたかな……。とにかく巨大な蛇の餌食にはしないって。代わりに僕を差し出すって言っていました。それから再びワームテールに拷問をした時――僕の傷跡が痛んで、そこで目が覚めました。あまりにも痛くて……」

 ハリーは話し終えたが、ダンブルドアはまだ『憂いの篩』をゆすっていた。そして杖から銀色に光る一本の糸をひゅっと引き抜いたかともうと、その糸がくるくる回転しながら小太りなそばかすだらけの女の子に変身して、篩に両足を漬けながらプンスカ怒って話し始めた。

「ダンブルドア先生、あいつ私に向かって呪いをかけたんですよ!私、ちょっとだけからかってやっただけなのに!!あの子が先週の木曜日に、温室の陰でフローレンスにキスしてたって。他の子に言ってやろうかしらって――本当に言う気はなかったんです。でもちょっとからかってやろうと思っただけで――」
「じゃがバーサ、君はどうして……」
「バーサ!?もしかしてこの子がバーサ・ジョーキンズ?」
「そうじゃ……この子の記憶を探すのにちょっと手間取っておってね。ファッジ大臣が来られた時も、この子の記憶を探していた最中だったんじゃ。慌てて片付けたから、扉の鍵をかけ忘れたみたいだ」
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