第3章 【期待と不安を胸に】
悔しさからだろうか、ロンの耳は真っ赤に染まっていた。そんなロンの肩を力いっぱい掴むと、クリスは真面目な顔つきで早口でまくし立てた。
「その通りだロン!マグル製品不正使用取締局なんて素晴らしい職業じゃないか!魔法省に居ながらマグル製品の傍に居られるなんて!マグル製品の魅力が分からないなんてナンセンスにも程がある……嗚呼っ!!出来る事ならホグワーツを卒業したら私が就きたいくらいだ!!」
クリスが拳を握り、熱のこもった声でそう言うと、その場の6人が力なく笑った。当のクリスは何故皆が笑うのか全く理解できずキョトンとしていた。
* * *
そろそろ制服に着替える時間になり、ネビル達は自分達のコンパートメントに帰った。まずクリスとハーマイオニーが着替えて、その後ハリーとロンが着替えた。
しかし駅につくと、雨は相変わらず土砂降りで、折角制服に着替えたのにびしょびしょに濡れてしまった。早く大広間に行って食事をして厚いシャワーを浴びて、暖かいベッドに横になりたい。4人は少しでも寒さを紛らわせようとくっ付いて歩いた。
ホグズミード駅を出て、ホグワーツ城に向かう馬車に乗る為、生徒たちの波をかき分けていると、大勢の黒いローブをまとった集団の中から、ひょっこり飛び出している大男が見えた。間違いない、ハグリッドだ。ハリーは大声でハグリッドに声をかけた。
「ハグリッドー!元気だったー!?」
「おお、ハリーか!もちろん元気だったさ。後で歓迎会で会おう!」
ハグリッドは例年通り、1年生をボートで湖を渡る引率者として付き添わねばならない。こんな日にボートで湖を渡るなんて、今年の1年生はツイてない。皆“馬なし”の馬車に我先にと乗り込んでいく。少しでもこの雨を凌ぎたいのだ。クリス達もぴったりくっつきながら、1台の馬車に乗り込んだ。
もうこれ以上ないってくらい濡れたのに、ホグワーツに着いた矢先、さらに水を被る羽目になった。
それは玄関ホールに入った時の事だった。やっと屋根の下に来られたと安心した矢先、突然上から水をいっぱい入れた水風船が落ちてきて、頭からつま先までぐちゃぐちゃになってしまった。
クリスは髪をかき上げ、上を向いた。するとポルターガイストのピーブズが、ケタケタ笑いながら次々に水風船を落として生徒を混乱の渦に陥れている。