第3章 【期待と不安を胸に】
ふと気づくと、扉の前にドラコ達が立っていた。ドラコはお得意のせせら笑いを浮かべて、コンパートメントに入ってくると、目ざとく ロンのドレスローブを素早く引ったくって、腰ぎんちゃくのクラップとゴイルに見せつけた。
「これを見ろよ!こんな骨董品よく見付けてきたな、こんなボロ布を着るつもりかい?」
「余計なお世話だ!!」
ロンは真っ赤になってドラコからローブを引っ張り返した。ドラコは気怠そうにドアに寄りかかりながらニヤニヤ笑っている。その後ろでクラップとゴイルも同じような顔をしていた。
「それで、君は出場するつもりなのかい?えぇ?賞金も出るし、そうすればもう少しマシなローブも買えるだろうからね」
「何のことだよ!」
「出場するつもりかって聞いているんだ、ウィーズリー。君のお友達のポッターなら絶対にするだろうな、なんて言ったって目立つことなら何だってする奴だからな」
「失せろマルフォイ!」
ハリーが立ち上がってドラコと対峙した。ドラコは顎を思いっきりあげてハリーを見下している。逆にハリーは顎を引き、ドラコを睨みつけていた。
「おや、もしかしてポッターは知らないのかい?目立ちたがり屋な君の事だ、もう知っているかと思ったのに。それにウィーズリー、父親が魔法省に勤めているのに知らないなんて……まあ下っ端の役人が知る訳ないか。それに比べて僕の父上は魔法省の高官と付き合っているから、すぐに教えて貰えたよ」
「ドラコ、私の前で喧嘩を売るな。出て行け」
クリスが静かにそう言うと、ドラコは眉をぴくっと上げた。それから何か言おうと口を開いたが、何を思い直したのかフンッと鼻で笑っただけに終わった。
「まあいいさ。クリス、今年のクリスマスは期待しているよ」
「勝手に期待してろ!この馬鹿!!ネサラ!!」
クリスがネサラにむかって合図を出すと、3人は急いでコンパートメントから出ていった。ネサラの戦闘力の高さは1年生の頃実証済みだ。
「あの意地の悪い捻くれモンの知ったかぶりめ!何かにつけちゃ喧嘩を売りに来て!!」
「本当だよ!パパだって、その気になればいつだって昇進できるんだ!ただ……今の仕事が気に入ってるだけだ」