第27章 【裁判】
「分かっていると思うが、お前たちは今法廷の場に居る。この法廷ではお前たちの悪事を暴き、裁き、罰する権利が与えられている」
「お、お父さん……」
茶色い髪の少年が、身をよじらせ立ち上がろうともがいていた。するとクラウチ氏はその声をかき消そうと一段と大きく声を張り上げた。
「4人の罪状は『闇祓い』のフランク・ロングボトムとその妻に対し、ヒトに対して使う事を禁じられている『磔の呪文』を行った咎でアズカバンに送られた」
「おとうさん!僕はやってない!やってないんです!!」
「お前たちは『名前を言ってはいけないあの人』の権力を復活せしめんと、ロングボトム夫妻が『名前を言ってはいけないあの人』の消息を知っていると推測し、拷問を行った。この衝撃の事実を持ってして、4人にアズカバンへの終身刑を言い渡す!!」
「お母さん、僕やってないんです!お父さんを止めて!僕じゃない!僕じゃないんだ!!」
「意義のある者は挙手をッ!!」
手を上げるものは誰もいなかった。クラウチ氏の隣に居た女性は、一瞬顔を上げ、息子の顔を見た。
母親の顔は泣きすぎて目が真っ赤に腫れあがり、肌は白く血の気が失せ、力を振り絞って立ち上がったら最後、その場で果ててしまいそうだった。
「意義がない様なので、これにて閉廷!ディメンター、こやつ等をアズカバンへ!!」
「嫌だ!あそこへ戻りたくない!!お父さん、信じて!僕はやってない、知らなかったんだ!!助けてお父さん!お母さん!」
無理矢理ディメンターに連れて行かれる様は、見ていられないほどだった。そんな中、ただ1人の女の被告人が振り返り高笑いをしながら大声で叫んだ。