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ハリー・ポッターと闇の姫君

第27章 【裁判】


「クラウチ!闇の姫君がいる限り、再び暗黒の時代が訪れる。闇の帝王は再び蘇るぞ!!我々はただ時を待つのみ、時が満ちたその時こそ、闇の帝王は我々をお褒め下さり、以下に忠実にして誠実な部下として迎え入れて下さる!!」
「連れて行け!!!」
「助けてお父さん!僕は彼方の息子だ!!」
「私に息子などいない!!」

 クラウチ氏は歯を食いしばり、乱暴に木槌を打った。少年はディメンターに連れて行かれながらも、最後まで抵抗して「助けて」と叫んでいた。やがて扉が閉まると、クラウチ氏の隣に居た女性は立ち上がり、大きく息を吸い込み獣のような雄叫びを上げつと、その場に崩れ落ちた。

「これって、クラウチさんの――」
「ああ、息子さんの裁判だ」

 何と言って良いか分からなかった。このシーンだけ見ていると、息子は被害者の様に見えた。シリウスの言っていた通り、たまたまそこに居合わせただけの不幸な少年に見えた。
 だが真相はどうであれ、息子はもう亡くなっている。そして妻も。この裁判が、クラウチ氏の人生を大きく変えたのかと思うと言葉が出なかった。

「戻ろうか、ハリー――」

 そう言いかけた瞬間、また背景が渦となって周り始めた。そしてまた同じ部屋に戻ってきたが、今度はやけにガヤガヤと周りの人が煩いのが特徴だった。
 ダンブルドアと、その隣にムーディが座っていた。壇上のクラウチ氏は、先程より白髪交じりの疲れ切った顔をしており、それでも厳格であろうとする努力が見えた。

「被告人、前へ!」

 扉が開き、中央の椅子にディメンターに囲まれた男がやって来た。その男の顔を見て、クリスは驚きのあまり声も出なかった。その男こそ――紛れもなくクリスの父・クラウスだったのだから。
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