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ハリー・ポッターと闇の姫君

第27章 【裁判】


 クリスは心の中でもう決心していた。『例のあの人』が完全に復活したら、もう腕の痣は隠せない。 ならば何かの拍子に見つかって話さざるを得なくなるより、時期を見て打ち明ける方が何倍も良い。
 でも、それまでは――あと少しの時間で良い、他の生徒と同様『普通の人間』でいたい。その思いが強かった。

「そっか、分かった。じゃあ待ってる」
「ありがとう、ハリー」
「そう言えば、クリスは校長室に来るのは初めてだったよね?僕、前にも来た事あるんだけどこの部屋大好きなんだ。フォークスは綺麗だし、不思議な魔法の道具はいっぱいあるし」

 ハリーが話しの矛先を変えてくれて事が、クリスには救いだった。クリスは有難くその話に乗っかった。

「そうだな、我が家にある秘密の部屋にも勝るとも劣らない道具ばかりだな。――ん?」

 閉め忘れた戸棚に、きらりと光るものを見付け、クリスは引き寄せられるようにして戸棚に近づいた。
 戸棚を開けると、中には銀色に光る半月形の器があった。これは我が家の秘密の部屋で見た事がある。確か父様と母様の若い頃の思い出を封じたものだった。
 ダンブルドアの若い頃――非常に興味がある……。いけないと思いつつも、クリスは器を取り出した。

「ハリー、ちょっと待っててくれ」
「え?クリス!?」

 クリスは思い切って、器に顔を近づけた。すると依然と同様、不思議な力がクリスを器の中に引きずり込み、ダンブルドアの記憶の中へと入っていった。

 そこは、父様の思い出とはうって変わって、陰気で神経が張り詰めたような空気の場所だった。四角い部屋の中は階段状になっており、そこには大人の魔法使いが沢山座っていた。
 部屋の中央には手枷が付いた椅子が置かれている。まるで裁判所の処刑を言い渡す裁判所のような所だ。とても若かりし頃の思い出を隠した場所とは思えない。

「おかしいな、こんなはずじゃ……」
「クリス?ここどこなの?」
「ハリー!?」

 思わず大声を上げてしまい、クリスは咄嗟に口を塞いだ。が、ここでは意味のない事だと思い出すと、きょろきょろと辺りを見回してダンブルダの姿を探した。
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