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ハリー・ポッターと闇の姫君

第27章 【裁判】


 深く追及されずに済み、クリスはホッとした。
 しかし、ついついハリーと一緒に校長室まで来てしまったは良いが、腕の痣の事をハリーの前でどう話そう。それともいっその事、今ここでハリーに全てを話してしまおうか。いや、駄目だ。ダンブルドアと相談して、それから話そう。
 ダンブルドア、ムーディ、ファッジが部屋から出て行くと、クリスはホッと息を吐いた。
 校長室は円筒形で、壁には沢山の飾り棚が幾つも置かれ、見た事も無い不思議な道具がたくさん並んでいる。そして沢山の額縁には見た事も無い魔法使い達が、スヤスヤ寝息を立てている。

「クリス、あれ見て」

 ハリーに声をかけられ振り返ると、そこには継ぎ接ぎだらけの『組み分け帽子』の隣に、2年生の時ハリーが帽子から取り出したゴドリック・グリフィンドールの剣が立て掛けられていた。
 この剣で、巨大なバジリスクをハリーが倒したが、まるで昨日の事のようによみがえってくる。

「不思議だな、こうして見ると」
「うん。僕、昨日の事みたいに覚えてるよ」
「私も、ちょうど同じ事を考えていたよ」

 死力を振り絞り、まだ幼い体で炎の精霊サラマンダーを召還した事。フォークスが『組み分け帽子』と共に助けに来てくれた事。ハリーが身を挺してクリスをバジリスクから庇ってくれた事。ジニーの命が尽きようとした寸前、ハリーが最後の力で『例のあの人』の分身である日記を破壊した事。
 全部、全部覚えている。忘れようにも忘れられない。

「……クリス?」
「……ハリー?」

 ほぼ同時に声をかけてしまった。何故か気まずい雰囲気が流れる。お互い言いたい事があるのに、何故か言えない。どうしてだろう、ロンやハーマイオニーにはこんな感情を覚える事なんてないのに。
 お互い何を言うか譲りあっていると、ハリーが先に口を開いた。

「あのさ、クリスはなんで僕についてきたの?」
「それは――ごめん、今は言えない」
「ダンブルドアには言えても?」
「……うん。でも、近いうちきっと打ち明けるよ。約束する」
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