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ハリー・ポッターと闇の姫君

第3章 【期待と不安を胸に】


 それ以上聞きたくもなかったので、クリスはコンパートメントのドアを閉めた。楽しい昼食時に、ドラコの嫌みったらしい声なんて聞きたくない。
 ロンが百味ビーンズを食べながら唸った。

「う~ん、どうにかしてマルフォイの奴を今すぐダームストラングに編入出来ないかな?」
「無理よ。ダームストラングって、評判も悪い上に対抗意識が強くて、凄く秘密主義でどこにあるかも一切情報が無いの」
「ダームストラングって、やっぱり魔法学校なの?」
「そうよ。『ヨーロッパにおける魔法教育の一考察』で読んだんだけど、昔から魔法学校には強い対抗意識があるの。だから自分達の国の学校以外は殆ど情報を漏らさないようにしているの」
「どうやって?」
「例えば知らない人が見たら廃墟に見える魔法が掛けられていたり、マグル避けの呪文がかかっていたり――って、私以外『ホグワーツの歴史』を読んだ人はいないの?」

 ハリー、ロン、クリスの3人はそろって首を縦に振った。ハーマイオニーは呆れたようにため息を吐いた。きっとハーマイオニーが傍に居る限り『ホグワーツの歴史』に目を通す事はないだろう。彼女に聞けばなんでも答えてくれるのだから。ありがたい生き字引だ。
 そうこうしている内に、列車はどんどん北へと進んでいった。その途中、同じ寮の友人が何人か顔を出した。ディーン、シェーマス、ネビルの3人が顔を出した時は、ハリーとロンとで揃ってクディッチ・ワールドカップの話で盛り上がっていた。
 クディッチに全く興味のないクリスは、その間ルームメイトのラベンダーとパーバティのいるコンパートメントに遊びに行っていた。30分くらい経って帰って来ても、ハリー達はまだクディッチの話で盛り上がっていた。

「よく飽きないな、同じ話ばかりで」
「飽きるもんか!4年に1度のワールドカップだったんだぜ?」

 ロンは片手に、いかつい男のミニチュア人形を持っていた。ネビルがそれを羨ましそうに眺めている。

「ビクトール・クラムだ!いいな~!」
「良いだろ!?それに僕達、貴賓席でクラムを間近で見たんだぜ?」
「――まったく、どうやって君の様な貧乏人が貴賓席の切符を手に入れたのか理解に苦しむよ」

 この独特の相手を蔑む気取った声を聞くとクリスは頭が痛くなってきて、思わずこめかみをグッと抑えた。
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