第26章 【消えたクラウチ氏】
「もちろん使ったとも。お前さんと同じように『呼び寄せ呪文』を使ってな。しかしどこにもクラウチの姿は無かった」
「それじゃあやっぱり『姿くらましの術』を!?」
「ロン!!学校の敷地内では『姿くらましの術』は使えないって何度言ったら分かるのっ!!」
ハーマイオニーが怒鳴った。先生の前で大声を出した事に、ハーマイオニーはちょっと慌てた様子を見せ、慌てて取り澄ました顔をした。
「先生、では何者かが何か他の方法を取ったと考えて良いんですね?」
「考えが鋭いなグレンジャー。お前も将来、プロの『闇祓い』を考えても良い」
ムーディ先生にそう言われると、ハーマイオニーは嬉しそうに顔を赤らめた。ロンは自分もそう言ってもらいたさそうに熱の入ったセリフを言った。
「そうだ!きっと箒か何かに乗せて一緒に飛んで行った、とか!!」
「その可能性も考えられなくはない」
「それじゃあ、クラウチ氏はホグズミード周辺に居ると?」
「どこにいても不思議ではないが、ここに居ない事は確かだ」
ムーディ先生の『魔法の目』がクリスを見つめた。クリス思わず怯んで目を逸らした。どうもこの目は好きになれない。
それからムーディ先生は空いた椅子にドカッと座り、正常な方の目で4人を見渡した。
「ダンブルドアから聞いておったが、どうやらお前さん達は探偵ごっこがお気に入りらしいな。だがクラウチはお前さんらの手には負えん。これから先は魔法省の仕事だ、ダンブルドアが昨日魔法省に手紙を送った。だからポッター、お前さんは余計な事を考えず第3の課題に集中するんだ」
話しが終わり、4人は教室を出た。
確かにハリーは、第3の課題に集中するべきだ。これまで辛くも第1、第2の課題をくぐり抜けてきたが、今度の課題はハリー曰く巨大迷路らしい。それもハグリッドが行く手を阻む障害物を置く予定だと言うのだ。
ハグリッドのお墨付きの障害物と言ったら、危険なものでない筈がない。それに付け加え、色々な呪いを破り、見事ゴールの優勝杯を取った者が勝利すると言う、単純だが身の危険も多い厄介な代物だ。
ハリーは実践経験は豊富にあるが、呪いを破る呪文等はやはり上級生の方が知っているから断然有利だ。だからこれから1か月間ハリーは実践的な魔法を覚える必要があった。