第25章 【unhappy Easter】
「ムカつく!!」
「ホントよね」
「無視していればその内皆忘れるよ、僕が良い例だ」
「私が怒っているのはね、あの女が、学校を出入り禁止されている筈なのに、どうして個人的な会話を聞いていたのかよ!」
「それは二の次じゃないのかハーマイオニー。被害者は君なんだぞ?」
自分で言うのも何だが、ハーマイオニーも少しずれていると思ったクリスだった。
そんなこんなで指輪の件はすっかり忘れ去られ、数日が過ぎて行った。ハーマイオニーは相変わらずリータ・スキーターに腹を立て、『闇の魔術に対する防衛術』が終わったらムーディ先生に質問があるから先に大広間に行っていてくれと言い残した。
今日の『闇の魔術に対する防衛術』の授業では、ムーディ先生が「呪い逸らし」の実践授業をしたので、ハリーは「耳がヒクヒク」ロンは「膝がガタガタ」クリスは「舌がレロレロ」する呪いが続いていた。そのお蔭で、クリスはまともに夕食が食べられなかった。
「ねえ聞いてちょうだい!リータ・スキーターは絶対『透明マント』を使っていないわ!!」
大広間に入って来た瞬間、耳から煙を吐き出しながらハーマイオニーが興奮して言った。ムーディ先生曰く、第2の課題の時、審査委員席の近くにリータ・スキーターの姿は無かったそうだ。しかしそれを聞いたからと言って引き下がるハーマイオニーではない。
「私、絶対あの女がどうやって私とビクトールの話しを聞いたか暴いてやるわ!それにハグリッドのお母さんの話しも!!」
「ハーマイオニー、そんな事止めろって言っても――」
「無駄!」
「ですよね……」
あきれたロンが思わず膝の力を抜いたと同時に、震えていた足がテーブルを蹴った。その途端、スープを飲もうと必死になっていたクリスの膝にスープがこぼれた。
「う~ん、もしかしたら……リータ・スキーターは君に『虫』をくっ付けたのかも」
ヒクヒク動く耳を押さえつけながら、ハリーが言った。
「虫?なに?ハーマイオニーにカメムシか何か付けたの?」
「ええっと、『虫』って言うのはね――」
ハリーが『虫』と呼ばれる盗聴器や録音装置について説明してくれた。マグルはそんな物まで発明しているのかと、クリスは大興奮で膝にこぼれたスープの怒りも忘れた。
しかしそれを聞いて、ハーマイオニーは大きくため息を吐いた。