第24章 【クラウチの息子】
やっと何かが聞き出せる、と思ったところでウィンキーの発作が始まってしまった。ウィンキーは首を大きく横に振って、金切り声を挙げながらも、断固たる態度を見せた。
「ウィンキーは守ります!ご主人様の秘密を――ヒック――あなた様は、お節介なのでごじゃります!!」
「ウィンキーはハリー・ポッターに、そんな口をきいてはいけないのでございます!!」
ドビーが怒鳴ったが、ウィンキーの泣き叫ぶ声の方が大きかった。クリスはクッキーを頬張り、手にしていたティーカップを置いて耳を塞いだ。これは実家のチャンドラーより性質が悪い。
「ハリー・ポッターは、お節介の――ヒック――根性悪です!あたしはただ、ご主人様の秘密を――ヒック――守るのでござます。あたしのご主人様の秘密を、覗こうとする奴は――ヒック――誰であろうと――ヒック――許しません!あたしは良い屋敷しもべでございます!!決して、ご主人様の秘密を――ヒック――口にはしません!!」
言いたいだけ言うと、グラッとウィンキーの体が揺れ、後ろに大の字になって倒れ、大いびきをかき始めた。うーむ……こんな見事な酔っ払い、酒場に行ったってそうそうお目にかかれやしないだろう。
ある意味感心するクリス達のわきを5、6人の屋敷しもべがやって来て、やれやれと言った風にウィンキーの手からバタービールを取り、ウィンキーを厨房の隅に並べてある丸椅子まで運んで行った。
「御見苦しい点をお見せして、わたくし達もお恥ずかしゅうございます」
そばに居た屋敷しもべが、申し訳なさそうにもじもじと前に進み出た。確かに「普通の」屋敷しもべならそう考えて当然だろう。家事もろくにせず1日中酒を飲んでは昔の主人を思い酔っぱらっているのでは。
もしこれがチャンドラーなら、恥を通り越して自分で自分の首をはねているところだ。