第24章 【クラウチの息子】
「やあ、ウィンキー。調子はどう?」
ハーマイオニーに変わり、今度はハリーが話しかけた。目線を合わせ、なるべく優しい声で話している。
「最近クラウチさんがどうしてるか知らないかな?『魔法学校対抗試合』の審査員として来なくなっちゃったんだけど」
「ご主人様が、来な――来なくなった?」
それまで虚ろな目でバタービールを飲んでいたウィンキーの瞳に、きらりと光る何かが宿った。上手い、とクリスは思った。ハリーはウィンキーから何かしらクラウチ氏の情報を聞きだすつもりらしい。
「第1の課題以降見ていないんだ。『日刊預言者新聞』では病気だって書いてあるみたいなんだけど……」
「ご主人様が――病気?ご主人様が?」
「でも、夜中にホグワーツに来たりしているみたいなんだ。本当に病気なら家にいるはずだろう?」
「ご……ご主人様には、このウィンキーが――ヒック――必要なのです!!」
ウィンキーは涙とバタービールをワンピースにだばだばこぼしながら言った。
「ご主人様は――1人では、ヒック――お出来に、なりません――ヒック――」
「でもウィンキー、普通の人は1人でも自分の事は自分で出来るのよ?」
ハーマイオニーが慌てて間に入ると、ウィンキーはややトロンとした目でハーマイオニーを睨んだ。
「あなた様は分かっていらっしゃいません!!ウィンキーは――ヒック――ただ、家事を――ヒック――していただけではありません!!」
どうやらウィンキーは、酔っぱらっているが意思ははしっかりしているみたいだ。ロンはエクレアを、クリスはクッキーを食べながら様子を見守った。こう言う時、自分達が口をはさんだら全てがおじゃんになる事をよく知っている。
「ご主人様は――ヒック――ウィンキーに1番大切なものを――ヒック――預けて下さったのです。ウィンキーを――ヒック――1番信頼して――ヒック――1番の秘密を……」
「何を?!」