第24章 【クラウチの息子】
「とにかく6月までは警戒を怠らない事。そうすれば私も一息つける。だが何度も言うように、危険を犯すような行動は決してとらない事だ。約束してくれるかい?」
「大丈夫だよ」
ハリーに続いて、ロン、クリス、ハーマイオニーもしっかり首を縦に振った。
「よし、それじゃあ村境まで送って行こう。途中で新聞が拾えるかもしれない」
そう言うなり、シリウスは大きな黒い犬の姿に変身した。それから4人と1匹は青空の下ゴツゴツした岩山を下り、坂を下って柵の所まで戻ってきた。それから4人で代わる代わるシリウスの頭を撫でると、シリウスは4人が見なくなるまでそこにお行儀よくお座りしていた。
ホグズミードの中心部にまで戻ってくると、ハリーは第2の課題を助けてくれたお礼にドビーに靴下を送りたいと言い出したので、4人でグラドラグスの魔法ファッション店に入り、ケバケバしい紫色と黄色の靴下を買った。
それからパーシーに、クラウチさんが最近どうしているかどう上手く聞きだすかあれこれ案を出し合っていた。パーシーはクラウチさんを崇拝しているので、下手な文句は使えない。
大広間の扉の前まで来た時、美味しそうな匂いが漂ってきて思わずロンのお腹がぐ~っと鳴り響いた。
「それにしても、ハリーってば本当にスナッフルに愛されてるんだね。ネズミを食ってまで生き延びるなんてさ」
僕ならごめんだと、ロンはフラフラ匂いに釣られながら大広間に入って行った。
* * *
それから翌日、4人はパーシーに手紙を書くと、それをヘドウィグに持たせて空に放った。ヘドウィグはもう暫くの間仕事をしていなかったので、手紙を持たせると嬉しそうに空に羽ばたいていった。
それからドビーに昨日買ったケバケバしい靴下を渡すため厨房に下りて行った。
厨房に行くと、大勢の屋敷しもべ達が大歓迎してくれた。皆そろってお辞儀をしたり、紅茶の用意をしたりと大張り切りだ。ハリーがドビーに靴下を渡すと、ドビーのテニスボール大の目玉に涙が溢れそうになった。
「なんと、なんと尊い御方でしょう……ハリー・ポッター!!」
ドビーがハリーの腰に突撃、もとい勢いよく抱きしめると、ハリーは「うっ」と息を詰まらせた。