第24章 【クラウチの息子】
「しかし――クラウチはまた別だ。あの人ほど人間らしからぬ人もいない。そう言う意味では本当に病気かどうかも怪しい。本当に病気なら、何故そんな身体でスネイプの研究室に入ったのか……それにワールドカップで貴賓席に来られなかったのは何故だ……駄目だ、情報が少なさ過ぎてこれ以上は整理できない」
「それなら、パーシーに……僕の兄さんに手紙を送ってみるよ!ただ……クラウチさんが何か企んでいるのかなんて直接は聞けないけど」
「十分だ」
自信なさそうに尻すぼみになるロンの言葉を奮い立たせるように、シリウスがハッキリ言った。するとロンはパアッと顔を明るくして鼻息を荒くした。
「それとついでで構わないが、バーサ・ジョーキンズの手掛かりがつかめたら教えて欲しい」
「バグマンさんが言ってたけど、手掛かりなしだって」
残念そうにため息を吐きながらハリーが言うと、シリウスが同調して新聞の束を指さした。
「バグマンは責任逃れの為に言っているだけだ。バーサがトロール並みに忘れっぽいとかなんとか……しかし私の知っている頃のバーサは忘れっぽいどころか、ゴシップネタになると凄まじい記憶力を発揮したものだ。まあ学生時代の話しだがな。それで良く厄介ごとに巻き込まれていた。魔法省でも同じような扱いだったんだろう。だからバグマンも必死に探さないわけだ……」
シリウスが腕を組みながら大きなため息を吐いた。沈黙が流れる。ふとハーマイオニーが時計に目をやり、3時半だと告げると、シリウスがもう帰った方が良いと言って立ち上がった。
「良いかい?良く聞くんだ。――君たちは私に会う為に学校を抜け出したりしない事。これは約束だ。それに何でも良い、少しでおかしな事があったらここ宛にメモを送ってくれ。少しでも状況を知っておきたい。だが何度も言うが、許可なくホグワーツの敷地内から出ない様に。誰かに襲われる格好のチャンスを与える様なものだからな。それと、たまにでいいから食料を送って欲しい。頻繁は駄目だ。ここの場所を誰かに探れらてしまうからな」
「うん、分かったよシリウス」
「それと、私の事を皆の前で話す時は『スナッフル』と呼びなさい。良いね?」
「スナッフルだね、分かった」