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ハリー・ポッターと闇の姫君

第24章 【クラウチの息子】


「知っているかもしれないが、君のお父さんは妻と子を人質に取られ仕方なくヴォルデモートの配下に下ったと皆に白状した。初めは信じなかった周りも、必死に訴える姿にだんだんと共感されていった。当時の新聞は面白いように書きたてたよ。“仕事に没頭しすぎて、自分の息子が『死喰い人』になるまで気づかなかったのはどうだ!?”とか“最愛の家族を守るために配下に下ったのが本当の愛だ!!”とか――まあ当時、私としてはどっちもどっちだと思ったがね」

 バックビークがバリバリとチキンの骨をかみ砕く音が洞窟内に響いた。
 クリスは奇妙な感覚だった。まさか自分とあのクラウチ氏の間にそんな関係があったなんて。ハッキリ言ってショックだった。

 横目でハリー、ロン、ハーマイオニーがチラチラとクリスの顔色を窺っている。クリスはキッと気丈な顔でシリウスを仰ぎ見た。
 こんな所でへこたれている様じゃ、話しの続きがきけない。それにハリー達に自分が臆病な人間だとは思われたくなかった。
 シリウスはクリスの目を見て頷いた。

「よし、話しの続きをしようか。息子は私がアズカバンに送られてから、直ぐ同じくアズカバンに送られて来た。バーテミウス・クラウチが裁判をかけてやったのが、せめてもの親としての温情だっただろう。息子はアズカバンに来て数日は泣きわめいていたが、3日もすればディメンターに生気を吸われ、やがて静かになり、そして――死んだ」
「死んだ!?」

 ハーマイオニーが思わず大声を上げた。

「クラウチさんは自分の息子の刑を軽くしようとは思わなかったの?」
「刑を軽く?笑わせないでくれハーマイオニー。あいつは自分の足を引っ張る奴がいたら全力で蹴落とそうとする奴だ。屋敷しもべがクビにされたところを見たんだろう?時間をかけて少しづつ権力を復活させつつあったクラウチが、またも自分の家の屋敷しもべが『闇の印』と結びついただけでクビにしたんだ。それだけで奴の正体が分かる。あいつは自分の身を守るためなら何でもする冷酷非情な男だよ――いや、たった1人、妻だけは愛していたようだがな」
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