• テキストサイズ

ハリー・ポッターと闇の姫君

第24章 【クラウチの息子】


 シリウスはニヤリと笑うと、まるで講義でもするかのように、辺りを行ったり来たりしながら4人に話しをした。

「ヴォルデモートが今、強大な力を持っていると考えてみるといい。誰が支持者なのか分からない。それどころか自分が何をしているさえも自信が持てない。知らず知らずのうちに、人を殺めている事すらある。誰もが敵に見えて、怯えて、混乱する。加えて毎日の様に死人や行方不明者のニュースが入って来る。当然魔法省は大混乱だ。手の打ちようがないからね。だが――そんな時に頭角を現す者もいる。それがクラウチだった」

 4人はシリウスの言葉を聞き漏らすまいとじっと耳を傾けていた。もし『例のあの』が今強大な力を持っていたら……間違いなく多くの人間が、己の身可愛さに奴の陣営に入ったって不思議ではない。
 身近なところで言えば、ピーター・ペディグリューが良い例だ。それに純血主義ならなおさらだ。クリスは知らず知らずの内に左手手首の痣を抑え付けた。

 ハリー達4人が身じろぎもせずジッと話を聞いているのを見ると、シリウスは面白そうに話しを続けた。

「クラウチは自分の権限を活かし、ヴォルデモートに従うものに厳しい罰を与えた。それに加え『闇祓い』達にも新しい権利を与えた。例えば捕まえるのではなく殺して良いだとか、裁判もせずにアズカバン送りにして良いだとかだ。正直言ってあの時のクラウチはヴォルデモートの陣営を潰すのに憑りつかれていたと言っても良い。その位、冷酷非情な男だったよ。世間の殆どはそんなクラウチに同調し、アイツを魔法大臣にろと口をそろえた。しかし、そこである事件が起こった」
「ある事件?」

 ハリーが不思議そうに口を開いた。他の3人も同じ気持ちで続きを聞きたがっている。しかし、明かされた言葉は予想をはるかに超えていた。

「そう、ヴォルデモート失墜から1年後、クラウチの息子が『死喰い人』の一味と一緒に捕まった。そこで――君の出番だ」

 シリウスは悪戯っぽい笑みを浮かべながら、クリスを指さした。突然指されたクリスはビックリして声も出なかった。ただ目をしばたくだけだった。シリウスは笑ながら尚も話しを続けた。
/ 305ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp