第3章 【期待と不安を胸に】
「そう言えば、3人とも今年の夏はウィーズリー家で過ごしたんだろう?どうだった?」
「楽しかったわよ、貴女もくれば良かったのに」
「クディッチの観戦が無ければ行っても良かったんだけどな。そう言えば、試合はどうだった?」
「最ッ高だったさ。僕達貴賓席から観戦したんだぜ!」
「へぇ、それは良かったな」
「でも、その後が大変だったのよ。貴女も知っていると思うけどワールドカップの『闇の印』が現れた場所に、実は偶然私達も出くわしちゃったの」
『闇の印』と聞いて、クリスは胃がねじれる様な思いがした。3人はクリスの左腕に『闇の印』がある事を知っているのだろうか。いや、知っている筈がない。知っていたら、こんなに平然としていられない筈だ。クリスはかすれた声で3人に質問した。
「『闇の印』が現れたって――どういう事だ?」
「えっ?君知らないの?新聞じゃ連日これに関する記事ばかりだぜ!?」
「悪かったな、新聞を読んでなくて。それで……ワールドカップで何があったんだ?」
「何って――ワールドカップがあった夜、突然『死喰い人』が暴動を初めたんだ。キャンプ場のマグルの人達を魔法で逆さづりにして行進して……奴らにとっちゃお祭り騒ぎの1つだったみたいだけど。それから僕らが森に逃げ込んだら、バーティ・クラウチさんっていう魔法省の人の屋敷しもべが『闇の印』を打ち上げたところに居合せちゃって……」
「だから!あの子はそんな事しないわ!皆勘違いしているだけよ!!」
ハリーが説明している最中、突然ハーマイオニーが叫んだ。クリスには分からない事だらけで、代わりにロンがたしなめた。
「ちょっと落ち着けよハーマイオニー。今は状況説明しているだけだから」
「話しの腰を折ってすまないが、『死喰い人』ってなんだ?それに『闇の印』って打ち上げるものなのか?」
「ああ、『死喰い人』っていうのは『例のあの人』の支持者の事だよ。それから『闇の印』って言うのは、当時『例のあの人』や『死喰い人』が誰かを殺す時に打ち上げたものらしいんだ」
「じゃあ、だれか殺されたのか!?」
「ううん、今回は『闇の印』が打ち上げられただけみたい。でも、……不吉なのはそれだけじゃないんだ。実は僕、その『闇の印』が現れる3日前に傷が痛んで目が覚めたんだ」