第23章 【愛すべき野良犬】
『――あの子、前歯と頭が大きいだけのビーバー見たいな子よ』と、誰よりも活発で可愛らしい同期のパンジー・パーキンソンがインタビューに応じてくれた。
『頭だけは良いみたいだけど、それだけね。可愛くもないし、きっと『愛の妙薬』でも使って男をたらしこんでいるのよ。それしか才能ないし。じゃなきゃあんな子に男の子が寄り付くはずがないわ』
『愛の妙薬』はもちろんホグワーツで禁じられている。アルバス・ダンブルドアは校長として、早速この件にあたるべきである。
それまでの間、ポッターとクラムと言う2人の少年の心を弄ぶハーマイオニー・グレンジャーという女狐から、少しでも純情な少年達を遠ざけておくべきだろう――。
「なんだこれはッ!!」
記事を読んだクリスが叫ぶと、黒板に今日の調合を書いていたスネイプが振り替えり、クリスは慌てて口を押さえた。
父がスネイプと知り合いで助かった。これがハリーだったら減点50点は軽い。ヒソヒソと額をくっつけ合わせて4人は小さな声で話した。
「だから言ったじゃないか、リータなんてババア相手にするなって。お蔭で君はたちんぼ扱いだぜ?」
「たちんぼって……意味わかって使ってる?」
「まあ……ママがこの手の女の人をたまにこうやって呼ぶから……」
「まあこの程度で済んだなら、リータ・スキーターも堕ちたものね」
そう言ってハーマイオニーは雑誌を放った。スリザリンのテーブルでは、この嫌がらせ効果にどの位ハーマイオニーが傷ついたか、例の『汚いぞ、ポッター』バッジ光らせながら盗み見ていたが、ハーマイオニーはフフンと笑ってにこやかに手を振る余裕さえ見せた。
「でも許せないな。あのクソババアもそうだが、パンジー・パーキンソンの奴!なにが“誰よりも活発で可愛らしい”だ!何と比べたんだ?!豚か?それともトロールか!?」
「君、怒る点間違ってるよ」
「でも、不思議よね。リータ・スキーターの奴、どうして知っていたのかしら?」
4人が調合をしていると、ハーマイオニーが突然意味あり気な事を言ってきた。クリスを挟んでハーマイオニーの隣に座っていたロンは、クリスをギュウッと押しつぶしながらハーマイオニーに詰め寄った。