第22章 【水面下での争い】
「ポッター選手の『鰓昆布』は特に高い評価を得ました!それに時間制限を超えてしまいましたが、実は人質の所に最初に到着したのはポッター選手だと言うのです!彼は人質全員の命を助けるためギリギリまで粘ったと長は言っています。この人道的な行いによってハリー・ポッターの点数は46点!!」
最高得点、ハリーが最高得点だ!!クリスは息を吸い込んだまま、吐き出す事も忘れて固まった。その隣でドラコがムスッと楽しくなさそうにしている。そんなドラコにむかって、クリスはおでこに軽くキスをした。
「今日はありがとな、ドラコ。私はハリー達の所に行ってくる!!」
それだけ言い残して、クリスはスタンドを駆け抜けハリー達がいる小さなテントに押し入った。
3人とも寒そうにしていたが、元気な3人の顔を見れただけでクリスは胸がいっぱいになった。濡れた服の上から毛布をかぶり、クリスの顔を見ると皆びっくりしていた。
「なんでそんな泣きそうな顔をしてるのさ?」
「馬鹿!これでも死ぬ程心配したんだぞ!」
そう言って、毛布ごと3人をいっぺんに抱きしめた。第1の課題はハリーの心配だけだったが、今回は3人もいっぺんに消えてしまったんだ。心配するなと言う方が無理だ。
いつまでも張り付いているクリスに、マダム・ポンフリーがお決まりのセリフを言ってクリスを剥がし、3人を城へ連れて行った。その後ろをクリスは付いて回った。
初めは「一般生徒は大広間に戻りなさい」と言っていたマダム・ポンフリーだったが、頑なな態度のクリスに遂に白旗を上げ「邪魔をしなければ傍に居て良い」と言ってくれた。クリスは3人の傍に居られることが、こんなに嬉しいと思った事は無かった。
第2の課題が終わり、第3の課題は6月24日の夕暮れに行われることに決まった。代表選手には、そのきっかり1か月前に課題の内容が知らされる事になるらしい。
そこでハーマイオニーが奇声を上げた。代表選手は期末テストを免除されているが、クリス達一般生徒はもちろんテストを受けなくてはならない。
ハリーの手伝いもしたいが、自分のテスト勉強も疎かにできないハーマイオニーにとって、これは板挟みだった。