第22章 【水面下での争い】
クリスは2人の無事な姿をよく見ようと、スタンドから立ち上がった。どよめきと歓声の中、ハリーは2人を引っ張って審査員席の所に連れて行こうとしていた。
クリスは興奮でハリー、ロン、ハーマイオニーのいるテントに行こうとしたが、ドラコに止められた。
「点数が出るまで待つんだ。今まで散々待ったんだから、もう少しぐらい平気だろう?」
「~~ドラコッ!」
興奮が抑えきれず、クリスは勢い余ってドラコに抱きついた。ハリーの悪口を散々言っていた割には、クリスが不安になるといつも傍にいてくれる。それがクリスにはありがたかった。
突然抱きつかれたドラコは、どうしていいやら困った様にしていたが、やがてクリスの肩の辺りをぽんぽんと撫でた。
「ほらな?僕の言った通りだっただろう?」
「うんっ……うんっ」
自信満々なドラコに、クリスは半べそかきながら頷いた。それから間もなく得点発表の時間がやって来た。またもバグマン氏が魔法で声を拡大させると、観客席に向かって大きな声で発表した。
「大変お待たせいたしました!それでは結果発表の時間です!!残念ながら我々では湖の中での様子が分からないので、湖底に住むマーピープルの長、マーカスから様子を伺いました。その結果を50点満点で評価します!」
クリスはゴクリと唾を飲み込んだ。
「まずはセドリック・ディゴリー!素晴らしい『頭泡呪文』を使い最初に人質を連れて帰って来ました。しかしそこにはもうハリー・ポッターが到着していたと聞いているので、得点は45点です!!」
「流石は正統なる代表選手だ」
「やかましいぞドラコ!」
「次にフラー・デラクール!同じく『頭泡呪文』を使いましたが、残念ながら水魔に襲われゴールに辿り着けず、得点は20点です」
レイブンクロー生に交じって座っているボーバトンの生徒達が残念そうな声を上げたが、フラーはこの点数に文句を言う態度は見せなかった。
「その次に、ビクトール・クラム!面白い変身術を使い、2番目に人質を連れて帰って来ましたが制限時間をオーバーした上、どうやらマーピープルの長に聞くと、人質を繋がれている縄を切るのにポッター選手に手伝ってもらったそうで、得点は35点。そして最後に、ハリー・ポッター!!」