第21章 【Look for it】
ついに、ハーマイオニーが電話帳のような分厚い本を閉じてため息を吐いた。
「これも駄目……ああ、鼻毛を伸ばしてリングを作る呪文ですって。誰が習いたいと思うのかしら?」
「俺なら試してみるけどね?」
「僕も賛成だ。次の日から『鼻毛の貴公子』って呼ばれるぜ」
「フレッド!?ジョージ!?」
ロンの叫び声で目を覚ますと、全く同じ顔をした双子のフレッドとジョージが本棚の陰から現れた。寝ぼけ眼で見る2人の顔は、普段よりもそっくりに見えた。
「2人とも何しに来たんだよ」
「マクゴナガル先生に、お前とハーマイオニーを連れて来いって言われたんだよ」
「大方ロニー坊やの事だ、ハーマイオニーの宿題を丸写ししたのがバレたんだろ?」
「ロン!彼方いつの間にそんな事――!!」
「誤解だよ、誤解!ここんところ忙しくて写す暇も無かったよ!!」
じゃあ暇があったらやるのか?と問いかけたくなったが、そこはあえて黙っておいた。
しかし――この2人にだけ用事とはいったいなんだろう。もしハリーの手助けをしていると言う事で怒られるなら、クリスも同罪だ。それなのに……クリスはまるでのけ者扱いにあった気分になった。
それが顔に出たのか、ジョージが片手でクリスの頬を掴むと、そのままぶちゅっと潰した。
「な~んだ?クリスはご不満なのか?この可愛い子ちゃんめ」
「かわひくないひ、ひゃめろ!!」
「ん~、またこの唇がぴよぴよ動くのがたまらない」
ジョージが唇をすぼめて「ちゅー」っと言って顔を近づけると、ハリーがジョージの頭を、辞典ほどもある分厚い本の角で殴った。
「はいはい、そこまで。2人とも、マクゴナガル先生が待ってるんじゃないの?」
「おっとそうだった」
「と、言うわけで続きはまた今度だ、クリス」
「2度と来るな!!」
心配そうに振り返るロンとハーマイオニーの背中を押しながら、ジョージが投げキッスを飛ばして来た。それを高速でかわすと、クリスは勢いよく親指を真下に下げた。それを見てケラケラ笑いながらフレッドとジョージは去っていった。