第20章 【半巨人】
「でも不思議よね。どうしてリータ・スキーターはハグリッドが半巨人だって分かったのかしら?」
「マダム・マクシームと話していた時に、茂みに隠れて聞き耳でも立てていたんじゃないか!?」
「まさか、あの場に居たのは僕とロンとマダム・マクシームと、あとコガネムシ位なもんだよ」
「それで、ハグリッドの様子はどうだった?やっぱり気にしていたか?」
「それが……授業にも出てこなかったんだ。代わりの先生がやって来た」
「授業にも出てこなかったっっ!!??」
クリスが大声で叫んだ。ハリーが「シーッ!」と言うと、クリスは口を押さえて教職員用テーブルに目をやった。ハグリッドの席は空席のままだ。
気持ちは分かる。クリスも、もし腕の痣の事をみんなに知られたら、どんな顔をして皆に会えばいいか分からないのだから。
「ハグリッドに会いに行こう。午後の『占い学』が終わったらすぐ!」
ハリーの提案に、4人はそろって首を縦に振った。
そして長い長い退屈な『占い学』の授業が終わると、大広間でハーマイオニーと合流してからハグリッドの小屋へ向かった。
ノックをすると、ファングの鳴き声が聞こえた。だが肝心のハグリッドの声がしない。続けざまにノックをしてみても、ファングの鳴き声が聞こえるだけで戸が開く様子はない。
どうやらかなり参っているらしい。4人はドアを激しくノックしながら、ハグリッドに呼びかけた。
「ハグリッド、開けてよ。僕だよ、ハリーだよ!」
「お願いだからここを開けてちょうだい!」
「僕達、ハグリッドが半巨人だったからって気にしてないよ!」
「せめて顔を見せてくれ、ハグリッド!!」
しかし寂し気に鳴くファングの声だけが聞こえるだけで、とうとうハグリッドが扉を開いてくれることは無かった。
ハグリッドが姿を見せなくなって、半月が過ぎようとしていた。『魔法生物飼育学』は相変わらず代行の先生が教えているらしく、ハグリッドは姿を見せるどころか小屋のカーテンをぴっちり閉めてこもっているらしい。
何とか元気づけたくて、4人は幾度となくハグリッドの小屋に足を運んだが、いつも無駄骨に終わっていた。