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ハリー・ポッターと闇の姫君

第19章 【Party night】


 支度を終えた者同士、クリスとハーマイオニーが談話室に下りて行くと、そこには下級生が何人かいるだけだった。4年生以上はまだパーティの仕度に手間取っているらしい。

「そう言えばハーマイオニー、行く所があるって言っていたけど、どこに行くんだ?」
「……言っても馬鹿にしない?」
「もちろんだ」

 ハーマイオニーは辺りを見回すと、こっそり耳打ちした。

「あのね、私……クラムが待っている湖のほとりに行くの」
「ええっ!?じゃあダンスの相手はクラ――」
「シッ!!声が大きいわよ!……貴女は知らないと思うけど、彼、私に会う為に毎日図書館に通っていたんですって。私も最初はおかしいと思ったけど、どうやら本気みたいなの」

 衝撃の告白を聞いて、クリスは「はあ……」としか言葉が出て来なかった。しかし今日のハーマイオニーの姿を見れば、クラムがハーマイオニーを選んだのは間違いではなかった。
 淡いブルーのドレスを着て、いつもぼさぼさに広がっている髪はどうやったのか、艶やかなシニョンに結い上げられ、パールの髪飾りを着けている。それに唇には淡いピンクのグロスを塗り、話すたびプルプルふるえて愛らしい。ハッキリ言って、いつものハーマイオニーとは別人だ。

「まあ、ハーマイオニーが誰と付き合おうが私は反対しないぞ。あ、スリザリンの連中は抜かしてな」
「付き合うだなんて……私はただ、今夜ダンスを踊るだけよ。ただそれだけ」
「まあどっちにしようが、今日のハーマイオニーは間違いなく可愛いよ。安心してクラムの所に行ってこい」
「ありがとう、貴女にそう言ってもらえると嬉しいわ。じゃあ私、彼が待っているから行くわね」

 ハーマイオニーは少し頬を染めながら、談話室を出て行った。
 それから30分位してからだろうか、ハリーを先頭に、ロン、ネビル、シェーマス、ディーンがパーティローブを着て談話室に降りてきた。
 みんな慣れないパーティローブに照れていたが、可哀相なのはロンだった。フリフリのフリルの付いたローブを無理矢理切断したらしく、襟や袖の糸がほつれてボロボロだった。

「やあ皆、遅いぞ。女を待たせるなんて男の風上にも置けない」

 色とりどりのパーティローブがひしめく中、クリスが1人がけのソファーから身を起こすと、みんな唖然としてクリスを見つめていた。
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