第18章 【気になるアイツ】
「とぼけるなよ、これは切実な問題なんだ。みんな相手がいるのに、僕達だけ相手がいないんじゃカッコつかないじゃないか」
「だから、無理なの!私には、もう、相手がいるの!!」
「嘘つけ!」
「嘘じゃないわよ!!」
だんだんヒートアップしていくロンとハーマイオニーの間で、ハリー、クリス、ジニーの3人は恐れをなして黙って事を見届ける事しか出来なかった。
「彼方が、“丸々3年半”かかってやっと私が女の子だって気づいたみたいですけどね、私には他にも誘ってくれる男の人がいるの」
「どうせネビルだろ?」
「違うわよ!もっと早くから、私の事を見ていてくれた人がいるの!!」
怒りMAXで怒鳴りつけると、ハーマイオニーは女子寮への階段を駆け足で上って行ってしまった。足音が聞こえなくなってから、ハッと気づいたようにロンが口を開いた。
「ど、どうせ嘘だろう?」
「嘘じゃないわよ」
「知っているのかジニー!?」
「知っているけど、教えない。女同士の約束だもの」
その女同士の約束に、どうして自分も入れてくれなかったのかクリスは考えた。それほど信用されていなかったのだろうか。そうだとしたら、その現実にちょっと落ち込む自分がいた。
「よし、じゃあこうしよう」
仕切り直す様に、ロンが再び口を開いてジニーを指さした。
「ジニー、お前ハリーと行け。僕は――」
「あたし、無理よ。だって……ネビルと一緒に行く約束しちゃったもの」
ジニーはハリーの方を見ながら、真っ赤になってもじもじしていた。
本当ならジニーもハリーと踊りたかっただろう。だがいつまで経っても自分を誘って貰えない事にしびれを切らし、ネビルの誘いに乗ってしまったみたいだ。
ロンは頭を抱えていたが、突然ポンと手を叩いた。
「待った――もう1人いるぞ、女の子が。クリス!最後の頼みの綱だ!今年のクリスマスは実家に帰るのを諦めて僕らのどちらかと踊ってくれ」
「無理だ。ついさっきディーンと約束したばかりだ」
「全滅か……」