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ハリー・ポッターと闇の姫君

第17章 【hunting】


「あいつ、なに怒ってるんだ?」
「乙女のハートは繊細なんだよ、ロナルド君」
「ねえ、参考までに聞くけど、クリスなら誰と踊りたい?」

 ハリーの純粋な質問に、クリスは「う~ん」と考えた。と思った次の瞬間、ボンっと音がするほどクリスの顔が真っ赤になった。

「いや、いくら何でも生徒と教師がそんなッ!……でも、でも先生が良いって仰るなら私は……私はっ!!いやでもそんな、困るなぁ……」
「僕、相手が誰だか分かった気がする」
「僕も……」

 流石の朴念仁達も、クリスの分かりやすいほど素直な反応に何の言葉も出てこなかった。

* * *

 それから日が経つにつれ、ホグワーツ城の中はクリスマス・ムード一色に染められていった。
 廊下には松明の代わりに金のキャンドルが灯され、大広間には各寮ごとに巨大なクリスマス・ツリーが設置されて、1日中それぞれのシンボルカラーのライトがチカチカ光っている。中庭に植えられている樫の木には金色のベルや羽根をパタパタ動かす天使の飾りや赤い帽子をかぶったクマのぬいぐるみが飾られていた。

 誰も彼もがクリスマス・ムードに酔いしれる中、クリスだけが日々眉間にしわを増やしていった。そう、原因は全部あいつ――ドラコ・マルフォイにあった。

「あっ!見つけたぞ、クリス!!」
「チッ……」

 最近のドラコは、もう病的と言って良いほどクリスにつきまとっていた。まるでクリスの時間割をすべて把握しているかの如く、移動時間になると先回りして現れて、ダンス・パーティに誘ってきた。
 今日も授業が終わり、大広間に向かう途中、まるで図ったように廊下の向こう側から現れて声をかけてきた。

 クリスマス・パーティまで10日と迫った今、ドラコはドラコなりに必死だった。ドラコのクリスが許婚同士だと言う事は周知の事実だ。それなのに片方がパーティに出席して、もう片方が実家に帰るじゃ面子が立たない。と、言うよりドラコのプライドが許さなかった。
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