第17章 【hunting】
「よし、これでアンジェリーナGetだぜ」
「え?なに?今どうしたの?」
「別に?ただアンジェリーナに『ダンスパーティに行こうぜ』って手紙を投げただけだ」
投げただけって――そのあっけらかんとした態度に4人はただ呆然としていた。それにしても相手を誘うのにもお手軽過ぎるって言うものだろう。それで良いのか2人とも。クリスを誘った時は小道具と小芝居まで用意したって言うのに。
「おいフレッド、そろそろ行こう」
「おう、じゃあな。お前たちも早く良い相手見つけろよ。じゃないとパーティで恥かくぜ」
テーブルの上から降りると、フレッドはジョージと一緒に談話室を出て行った。たった10秒の間に、フレッドはダンスパーティの相手を見つけてしまった。それもいとも簡単に。兄のそんな姿を見て、ロンは何かを決意したようだった。
「……よし、やろうハリー。僕達も本腰を入れるべきだ。さっさとしないと残っていたのがトロール2匹じゃ話しにならないもんな」
「ちょっと待って、今なんて言ったの?二匹の――なんですって?」
「だから、ブサイク連れてパーティ行ったらどんな目で見られるか。例えばエロイーズ・ミジョンとか」
「あの子、とってもいい子だし顔のニキビも前よりずっと良くなったわ!!」
「でも鼻が顔の真ん中からずれてる」
ロンがズバリと言うと、ハーマイオニーは信じられないと言うように目を見開き、息を大きく吸い込んだ。長年の付き合いから、クリスは「これは一波乱あるな」と直感した。
「それじゃあ!彼方は顔の良い子を順番に誘って、最初にOKしてくれる子を選ぶってわけね!?どんなに性格がブスでも!!」
「あー、うん。まあ、そんなとこかな」
「お話にならないわ!」
ハーマイオニーは勢いよく立ち上がると、宿題一式カバンに詰め込んで談話室を出て行ってしまった。向かった先はきっと図書館だろう。しかしロンは追おうともせず、それどころかなんで怒っているかも分かっていない様子だった。