第17章 【hunting】
「ハリー、思い切って誘って見ろ。案外あっさりOKを貰えるかもしれないぞ」
「良い事言うな、流石はクリス」
「数多の男を振った女の言葉とは思えないな」
丁度そこに、双子のフレッドとジョージが談話室に入ってきた。その拍子に、ロンは手元がくるって最後の一段を崩してしまい、途端にカードが爆発してロンのまゆ毛が焦げた。
「おっ、ロン。男前になったな」
「嘘つけ。どうせからかってるだけだろ」
「やっとロニー坊やのツルツルの脳みそのシワが出来たみたいだな」
「うるさいな、それより何の用だよ!」
「お前のふくろうちょっと貸してくれよ」
「良いけど、なんで?」
ロンが焦げたまゆ毛を前髪で隠そうと、必死になって髪を引っ張りながらぶっきらぼうに訊いた。
「フレッドがダンスパーティに誘うんだと」
「マジで?」
「ばーか。手紙を送る以外にどんな用でふくろうを借りるんだよ。やっぱりロンの脳みそはツルツルだな」
「我が弟ながら情けない。こんなバカじゃダンスパーティの相手も見つからないだろうに……」
よよよ……と、ジョージがわざとらしく手で顔を覆った。また陳腐な小芝居が始まるのかと思うと、呆れて相手にする気も起きない。
無視して宿題を片付けようとしていると、いきなりフレッドがテーブルに腰掛けて、得意げになって話しかけてきた。
「それで?みんなダンスパーティのお相手は見つかったのかい?」
「その言葉、そのままそっくり返すよ」
「自慢だけど、俺はいるぜ」
「えっ!?誰!?」
ハリーとロンが勢いよく喰い付いた。未だパートナーを見つけていない2人にとって、これは緊急事態だった。
たった3日前、クリスを誘って断られたばかりだと言うのに、いつの間にパートナーを見つけたんだろう。2人にとって、その早業は是非ともご教授願いたいものだった。
フレッドは「ちょっと借りるぜ」と言って羊皮紙を破り、羽ペンで何やら文字を書いて丸めると、それを暖炉の前でお喋りをしていたアンジェリーナの後頭部目がけて投げた。
「きゃっ!なに?」
「俺、俺!中身見て見ろよ」
フレッドは自分を指さすと、ニッと笑って「OK?」と指を丸くした。アンジェリーナは1回フレッドの頭のてっぺんからつま先まで見ると、笑いながら「良いわ」とだけ言って、またお喋りに戻った。