第15章 【ドビーとウィンキー】
「あ、あなた様があたしのご主人様にお会いに?このホグワーツで?」
この時初めてウィンキーがスカートから少しだけ顔を上げ、チラリとハーマイオニーの顔をまじまじと見た。これは良いきっかけだと思ったハーマイオニーは、少し大げさすぎるとも思える笑顔で答えた。
「ええそうよ。クラウチさんとバグマンさん。2人とも『三大魔法学校対抗試合』の審査員をしているの」
「バグマンさんもご一緒にいらっしゃられるんですか?」
バグマンさんの名前を口にした途端、突如ウィンキーの顔が泣き顔ではなく、憤怒の形相になったので、クリス達はビックリした。ウィンキーは立ち上がり、手足をばたつかせて怒りを露わにした。
「バグマンさんは悪い魔法使い!ウィンキーのご主人様がそうおっしゃっていました!!ご主人様はバグマンさんが大嫌い、大大大大大ッ嫌い!!」
「バグマンさんが悪い魔法使い?」
「そうです!でもウィンキーはそれ以上おっしゃらないのです!ウィンキーは良い屋敷しもべですから。……ああ、可哀相なご主人様、ウィンキーがいなくなってどんなに困っていらっしゃることやら……」
今度はまた大粒の涙を流し始めた。泣いたり、喚いたり、怒ったり、かと思えばまた泣いたり、本当に忙しい屋敷しもべだ。
ウィンキーはその後ずっと泣き続け、これ以上話が出来ないと感じた4人は、紅茶を飲み終えたのをきっかけに談話室に戻る事にした。
帰り際、ホグワーツの屋敷しもべ達がわらわら寄って来て、やれパイだのチョコレートだの沢山のお菓子をお土産に持たせてくれた。
最後にドビーが扉の前でハリーに話しかけた。
「ハリー・ポッター様、ドビーが……またあなた様にまたお目にかかりたい時、訪ねて行ってもよろしいでしょうか?」
「もちろんだよ」
ハリーがそう言うと、ドビーは感極まって目に涙を浮かべながらお辞儀をして扉を閉めた。