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ハリー・ポッターと闇の姫君

第15章 【ドビーとウィンキー】


 誇らしげなドビーに比べ、他の屋敷しもべはまるで悪い病気にでもかかった患者を見る様な目つきでドビーを見た。ウィンキーはさらに大声をあげて泣いて、ハーマイオニーの慰めもまるで意味が無かった。
 しかしドビーの話しは止まるところを知らない。ウィンキーの鳴き声と、それに勝るとも劣らぬドビーのキンキン声で、クリスは耳を塞ぎたくなるほどだった。

「丸2年間旅をして、ドビーはウィンキーを訪ねました。その時ウィンキーも自由になった事を知り、2人で新しい職場を探す旅に出たのです!でもウィンキーは言いました。屋敷しもべを2人も雇ってくれる場所なんてないと……そこでドビーは思いついたのでございます。そう、ホグワーツがあると!!ドビーとウィンキーは早速ダンブルドア校長先生に会いに行きました。するとダンブルドア校長先生は、早速2人を雇ってくださったのです!!それも1週間に1ガリオンというお給料付きで!!」

 遂にウィンキーが椅子から身を投げ出し、大声で泣き叫びながら床を拳で叩いた。その大声たるやドビーのキンキン声を凌駕するほどで、クリスはたまらず耳を塞いだ。
 それでもウィンキーの泣き声は手をすり抜けて耳に入って来た。こんな状況下でもビスケットを頬張るロンを、正直凄いと思った。

「ウィンキーは不名誉な屋敷しもべでございます!でもウィンキーはまだお給料をもらう事をしていません!ウィンキーは自由になった事を恥じております!!」
「恥じる?どうして彼方が恥じるの?恥じるのは貴女の元ご主人であるクラウチさんの方よ!クラウチさんは貴女に酷い仕打ちをしていたじゃ――」
「あたしのご主人様を、あなた様は侮辱なさらないのです!クラウチ様は良いご主人様です!クラウチ様は悪いウィンキーをクビするのが当たり前なのです!!」
「ウィンキーはなかなか自由になった事に、適応出来ていないのでございます」

 ドビーが残念そうな表情で言った。少なくとも、塞いだ耳からはそう聞こえた。
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