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ハリー・ポッターと闇の姫君

第15章 【ドビーとウィンキー】


「泣かないで、ね?ここにはあなたを傷つける人は誰もいないわ」

 するとウィンキーはますます声を張り上げ、言葉にならない声で喚きだした。こんな時どうすれば良いかクリスには皆目見当もつかず、壁の方に離れて逃げた。
 一方、ドビーがハリーにお茶を勧めると、返事をする前に、近くに居た屋敷しもべ達がすかさず4人分の紅茶を注ぎ、クッキーとビスケットまで差し出してくれた。

「サービス精神旺盛だなぁ!」

 ロンが関心して言うと、ウィンキーをなだめすかしていたハーマイオニーが鬼のような顔で睨んだ。それを見てクッキーに手を伸ばしかけていたクリスの手が止まり、代わりに静かに紅茶を一口飲んだ。触らぬ神に祟りなしとはこの事か……。
 クリスは紅茶を手に、黙って事の成り行きを見守る事にした。

「それで、ドビーはいつからここに居るの?」
「1週間前でございます、ハリー・ポッター様!ドビーは新しい就職先を探していたのでございます。――ご存知かもしれませんが、屋敷しもべは新しい雇い主を探すのに大変苦労しなければならないのです……何故なら屋敷しもべとは本来一生1つの屋敷で暮らすからでございます。ドビーは丸2年間仕事を求めて国中を探し回りました。どうしてそんなに時間がかかったのか、それはドビーがお給料を欲しがったからです!!」

 野次馬根性で周りを取り囲んでいた屋敷しもべ達が、まるで恥ずかしい事を口にされたみたいにパッと顔を隠した。しかしドビーは気にしていない様子だった。

「その通りよ、ドビー。他の皆もドビーと同じようにお給料をもらうべきよ!」

 ドビーはその言葉にニッコリ笑ったが、他の屋敷しもべ達はそんなハーマイオニーに訝しげな視線を投げかけた。

「ありがとう御座いますお嬢さま。ですがお給料を欲しがる屋敷しもべ妖精はどこへ行っても門前払いをくらってしまうのです。そんな屋敷しもべはいらないと……ドビーは働くのが好きです!ですがお給料も欲しいですし、洋服だって着たいです!ハリー・ポッター、ドビーは自由が大好きです!!」
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