第15章 【ドビーとウィンキー】
「ドビーはハリー・ポッター様に会いたくて、会いたくて……そうしたらハリー・ポッター様の方からドビーに会いに来て下さった!!」
「おいドビー、私はどうでも良いのか?」
「もっ……もちろんクリスお嬢さまもです……」
クリスが不服そうな顔をしてあえてそう言うと、ドビーはばつが悪そうに苦笑いをした。それを見てクリスはちょっと笑ってしまいそうになったのを必死に堪えた。
「でも、どうしてドビーがここにいるの?」
「ドビーはウィンキーと一緒にホグワーツに働きに来たのでございます!」
「ウィンキー!?ウィンキーもここに居るの?」
ハリーは驚いた顔をしていたが、クリスはイマイチ展開についていけなかった。ハリー達の耳に入らぬよう、クリスは小さくロンに囁いた。
「なあロン、ウィンキーって確か……」
「ああ、僕らがクディッチ・ワールドカップで会ったクラウチ氏の元・屋敷しもべ妖精だよ」
「なんで2人そろってここに?」
「僕に聞かれても分かんないよ」
ドビーがハリーの手を取り、長テーブルの通りを抜け厨房の奥へと連れて行った。
ロン、クリス、ハーマイオニーがその後を追いかけると、厨房に居た少なくとも100人程の屋敷しもべ達が、あちこちでお辞儀をしたり、かしこまった挨拶をしたり、微笑みかけたりしている。そしてみんな同じ格好だ。ホグワーツの紋章が入ったキッチンタオルを古代ローマ人が着ていたトーガ風に巻き付けて結んでいる。
「ハリー・ポッター様、ウィンキーです!」
一見して、クリスはハーマイオニーが憐れみを持った理由がようやく分かった。
ウィンキーと言う屋敷しもべは丸椅子に小さく身を屈めて座り、シミだらけのピンクと白のワンピースに、水色の帽子を被っている。ちゃんと帽子には耳が出るよう穴まで開いていたが、それが余計にみすぼらしく見えた。
「調子はどう?ウィンキー?」
ハーマイオニーが優しく問いかけると、ウィンキーと言う屋敷しもべは唐突、目に涙を浮かべ、泣き始めてしまった。それも滝のように大粒の涙をボロボロこぼしている。