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ハリー・ポッターと闇の姫君

第15章 【ドビーとウィンキー】


「お嬢さま、ロイヤルミルクティーとガトーショコラのご用意が出来ております」
「……で?魂胆は何だ?」
「魂胆なんてそんな。僕達はただ、お嬢さまに午後のひと時をご堪能いただきたく――」
「ダンスパーティなら出ないぞ」
「チッ、ばれたか」

 フレッドが悔しそうに舌打ちをすると、3人はクリスを挟むように3人掛けのソファーに無理矢理座ってきた。

「君を連れて行けば、あのセドリック・ディゴリーの悔しがる顔も見られると思ったんだけどな」
「そんな事に私を使うな」

 クリスは『もの扱い』されることが大っ嫌いだ。だからこそ、今までの相手も断ってきた。誰もクリスを『1人の人間』として見てはくれない。そうだ、セドリック以外は皆――。

「なあクリス、パーティに出ようぜ?きっと楽しいこと請け合いだぜ?」
「い・や・だ。お前たちと行くくらいならセドリックと行く方がましだ」
「おっと残念、あの顔だけの坊ちゃんなら相手を見つけたみたいだぜ?」
「それ本当か?」
「聞いて驚け、相手は――」

 ジョージが耳打ちしようと近づいてきたので、クリスが耳を傾けると――ふーっ、と軽く息を吹きかけられ、クリスは思わず恥ずかしい声を上げてしまった。
 クリスがまんまと罠に引っかかると、3人が腹を抱えてゲラゲラ大笑いした。その直後、クリスの眼が凍り付くような眼差しに変わると、スッと立ち上がって窓際に行き、ネサラを呼び寄せたのは言うまでもない。


 フレッドとジョージとリーにお灸をすえた後、折角なので紅茶とガトーショコラで一息ついていると、ハーマイオニーが酷く動転した様子で慌てて談話室に入って来た。その後ろに、ハリーとロンも息を切らしながらくっついて来ている姿が見えた。

「クリスッ!良かったここに居たのね、あのね、大変な事が起こってるの!あなたも一緒に来てっ!!」
「あ、ああ……」

 半分気圧されながら、クリスはハリー達と一緒にハーマイオニーの後について行った。玄関ホールを通り過ぎ、通路を左に曲がって長い階段を下り、着いた先は明るいランプが照らす広い地下通路だった。
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