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ハリー・ポッターと闇の姫君

第13章 【ほどけた紐】


「これは凄いーー!ポッター選手、なんと箒を呼び寄せたーー!!」

 途端に爆発的な歓声が湧いた。ハリーはひらりとファイアボルトにまたがると、まるでクディッチの試合の時の様に大空に舞い上がった。
 そしてドラゴンを挑発する様に、上下左右に木の葉のごとく飛び回り、相手を卵から遠ざけようとしている。

「これは素晴らしい動きだ!クラム選手に引けを取らない飛びっぷりだー!!」
「いけっ、ハリーーッ!!」

 ロンが立ち上がり、ハリーを応援している。もうロンの中にハリーに対する嫉妬心は無い。あるのはハリーを想う友情だけだ。

 ハリーは上昇したと見せかけ、今度はドラゴン目掛け一気に急降下した。その瞬間を逃さず、ドラゴンが口を開いて炎を吐こうといたので、ハリーは急旋回してスレスレでそれを避けた。
 しかし尻尾の先の棘に肩をかすめてしまい、ローブが僅かに破けた。ハリーは無事な様だったが、見ている方はハラハラして生きている心地がしなかった。
 依然として、ハリーはドラゴンを挑発する様に炎の届くギリギリを旋回して飛び回っている。ドラゴンはだんだんイライラしてきて、尻尾を振り回し、その度に観客席まで振動が伝わってくる。

 今、皆の目はハリー一点に集中していた。皆ハリーが次に何をするのか緊張と興奮で見守っている。ドラゴンがハリーに噛みつこうとした時、ハリーはまたも寸前で避けた。ドラゴンは耐え切れず、ついに直接ハリーを襲おうと立ち上がった。その時――この瞬間を待っていたかのように、ハリーは急降下した。

 このままのスピードでは地面にぶつかる――。誰もがそう思った時、ハリーは両手を放し、目にも止まらぬ速さで金の卵を手に入れると、片手で卵を抱えたままグイッと箒の柄を引き戻し、そのまま上空へ舞い上がった。
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