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ハリー・ポッターと闇の姫君

第13章 【ほどけた紐】


「なんと大胆不敵!クラム選手、辛くも卵を手に入れました!!さて、点数の方は!!?」

 6点、7点、7点、10点。汚らしい事に、低い点を付けた他の審査員とはうって変わって、カルカロフは自分の生徒だからと最高得点をつけた。クリスは思わずチッと舌打ちをした。

 そしてついに最後であるハリーの番がやってきた。お願いだから危険な事はしないで欲しい。例え課題に失敗しても、生きて帰って来てくれればそれで十分だ。
 クリスはハリーの無事を祈り、力いっぱい両手を胸の前で組んだ。

「さて、いよいよ最後の選手の登場です!ハリー・ポッター!!」

 小さいテントの中から、ハリーが出てきた。広い囲いの外から見るハリーは、他の選手に比べて本当に小さく、頼りげなく見えた。そしてハリーの相手をするドラゴンを見て、観客の皆が息をのんだ。
 今までのどのドラゴンと比べて大きく、また傍から見ても凶暴で、おまけに尻尾には巨大な針のような棘が無数についていた。こんなドラゴンに、いくら勇気があるって言ったって、たった14歳の少年が立ち向かえるはずがない。

「……無理だ、こんなの。ハリーが、ハリーが死んじゃうよ……」

 クリスの隣に座っていたロンが呟いた。ロンの体が僅かに震えている。クリスは、真っ白になるほどキツく拳をつくっていたロンの手を、上からギュッと握りしめた。

「……今は、ハリーを信じるしかない……」

 ホイッスルが鳴ると、一斉に歓声が上がった。しかしハリーの耳には届いていないようだった。ハリーは杖を真っ直ぐ掲げると、大声で叫んだ。

「アクシオ!ファイアボルトッ!!」

 一瞬、静寂がグラウンド全体を包み込んだ。するとどこからともなく風を切る音が聞こえてきた。それはだんだんこちらに近づいてきて、そして――ハリーの相棒、ファイアボルトがハリーの目の前に飛んできた。
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