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ハリー・ポッターと闇の姫君

第13章 【ほどけた紐】


「やったーーー!!最年少にして最短記録で金の卵を手にしました!!ハリー・ポッターに盛大な拍手を!!」

 バグマン氏が言わなくても、皆が皆立ち上がってハリーに歓声と盛大な拍手を送っていた。ハリーは地上に戻り、先生達に囲まれながら小さなテントに戻って行った。

「私達も行こう、ロン!」
「でも……僕は……」
「関係ない!一緒に行こう!!」

 ロンの手を引っ張り、クリスはスタンドを駆け下りテントの中に入った。ハーマイオニーもちょうど来たところで、3人一緒にハリーのいるテントに飛び込んだ。

「ハリーーッ!!」

 勢い余って、クリスはハリーに抱きついた。ハリーが肩を傷つけていた事なんてすっかり忘れていたので、ハリーは悲鳴を上げた。

「いたっ、痛いよクリス」
「あぁ、悪かった。でもおめでとう、ハリー!!」
「彼方、本当に本当に素晴らしかったわハリー!!私、とっても感動したわ」
「…………」

 歓喜に満ち溢れる中で、ロンだけがばつが悪そうに地面を見つめていた。しかしゆっくりハリーの顔を見て、震える声で呟いた。

「君は……君は危うく死ぬところだった。課題がこんな危険な物なんて知っていたら、僕は――いや、そうじゃない。僕が馬鹿だった。だから――」
「ストップ、それから先は言いっこ無しだ」
「でも!!」
「君が馬鹿だって事は十分に知ってるよ。だから言わなくていい」

 そう言うと、ハリーがニヤッと笑って片手を上げた。ロンはこみ上げてくる涙を乱暴に拭うと、ハリーと激しいハイタッチを交わした。

「僕が馬鹿なら、君は大馬鹿だ!いつもいつも悪い奴らに利用されて!!こっちは心臓が幾つあっても足りやしない!!」
「そんなに心配したかい?」
「したよ!君が死ぬんじゃないかって、何度も何度も!!」
「だってさ。ねぇ、どう思う?」
「もう、もうっ……2人とも大馬鹿なんだからっ!!」

 今度はハリーとロンを2人まとめて、ハーマイオニーが泣きながら抱きしめた。男連中は嬉しいやら恥ずかしいやら、もぞもぞしていたが、それに便乗する様に、クリスもみんな一緒くたに両腕をめいっぱい広げて3人の肩を抱いた。
 ――こんな気持ち、いつ以来だろう。クリスの頬に一筋の涙が伝い落ちた。クリスの心の中は晴れ渡り、季節外れの暖かな優しい風が吹いていた。
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