第13章 【ほどけた紐】
「良くやりました!さあ、審査員の点数です!!」
バグマン氏が叫ぶと、審査員たちがフリップボードに点数を示した。9点、8点、8点、6点。カルカロフを抜けば、かなり良い点数だ。だがそれよりも、クリスはセドリックの火傷の方が心配だった。
ふと横を見ると、ロンが青い顔をして何かぶつぶつ言っていた。そうだ、ハリーも同じ目に遭うかもしれないのだ……いや、もしかしたらもっと酷い目に――嫌な想像を振り払おうと、クリスは頭を振った。
次に現れたのはフラー・デラクールだった。相手のドラゴンはセドリックが戦ったのよりも一回り小さい、がその凶暴性は何ら変わらない。フラーは杖を出し、ドラゴンに向かって呪文をかけた。しかしドラゴンの固い皮膚に覆われ呪文が上手く利かない様だ。
「デラクール選手、なかなか呪文がきかないようです!いや、しかし……」
フラーは華麗にドラゴンの攻撃をかわしてはいたが、呪文は決定打に欠け、なかなか卵に近づけなかった。しかし何度も呪文をかけている内に、ドラゴンの動きが鈍くなり、トロンと目を細め始めた。
その隙に、フラーは卵にゆっくと近づき、遂に金の卵を手に入れた。その瞬間、ドラゴンの鼻息でスカートに火が付き、フラーは慌てて杖から水を出し消火した。
「やりました!!危うく火傷を負うところでしたが、見事卵を手に入れました!!さあ、得点は!?」
9点、8点、9点、5点。またしてもカルカロフが低い点数をつけたが、2人の総合点数に差は無い。次は、誰が出てくるだろう……。
固唾をのんで見守っていると、テントから真っ黒いドラゴンが出てきて、そして――クラムが出てきた。
ホイッスルが鳴り、クラムは杖からドラゴンめがけて何か光線を発射した。それはドラゴンの片目に直撃して、ドラゴンはもの凄い雄叫びを上げながら暴れまわった。その衝撃で、ドラゴンが守っていた本物の卵が数個割れてしまった。
ドラゴンは尚も暴れ狂い、もう少しでクラムを踏み潰すところだった。
「おーっと、クラム選手これは危ない!!」
しかしクラムは辛くもドラゴンの攻撃から逃れると、もう一発光線を発射させ、今やドラゴンの両目は潰され、何も見えなくなっている。クラムはドラゴンが卵から離れたその隙狙い、金の卵を文字通り奪い取った。