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ハリー・ポッターと闇の姫君

第13章 【ほどけた紐】


 囲いの傍にあった小さいテントから、最初の挑戦者が現れた。最初の挑戦者は――セドリックだ!!

「セドリック、頑張れーー!!」

 大きな歓声の中、クリスは大声を張り上げた。この大歓声の中ではクリスの声など届いていないだろうが、そんな事はもうどうでも良かった。
 甲高いホイッスルが鳴り響き、ついに第一の課題が始まりの合図を知らせた。

「試合、開始ーーー!!!」

 バグマン氏が魔法で拡大した声が、スタンド中に響いた。誰もが見守る中、ドラゴンはセドリックに向かってきたが、セドリックは杖を取り出し、何か呪文を唱えた。すると岩の1つが大きい犬に姿を変えた。

「おーっと、これは上手い!果たして金の卵は手に入れることが出来るのか!?」

 ドラゴンは犬に気を取られて、セドリックから視線をそらした。その隙に卵を取ろうとドラゴンの守る卵に近づこうとしたが、その瞬間ドラゴンの尻尾がセドリックめがけて鞭の様にとんできた。セドリックはそれを辛くも避けたが、惜しくも卵から遠ざかってしまった。

「おしい!!なかなか卵に近づけないようです!!」

 そんな追いかけっこが15分位続いただろうか。セドリックは走りっぱなしで、傍から見ても息が切れ始めていた。クリスは心臓がドキドキしているのが自分でも分かった。とにかく声を張り上げ、セドリックを応援し続けた。
 ドラゴンの炎がセドリックの体スレスレを通ると、恐怖で目を覆いたくなった。しかしセドリックが頑張っている姿から、目を背けるわけにはいかない。

 セドリックが3つの岩を犬に変えると、ドラゴンはその3匹の犬を追いかけて卵から離れた。その隙を見逃さず、セドリックは最後の力を振り絞り金の卵を奪い取った。誰もが成功したと思ったその時――急にドラゴンがセドリックの方を向き、口から灼熱の炎を吐いた。

「危ないっ!セドリックーー!!!」

 喉が張り裂けんばかりにクリスは叫んだ。しかしセドリックは何とか炎の直撃を避け、地面に転げまわった。ローブの肩の所が焼けこげ、火傷をしている様だ。だがセドリックは無事な方の手で金の卵を掴み、大空に掲げた。
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