第12章 【木綿のハンカチーフ】
談話室に戻ると、ハーマイオニーが盛大なため息を吐いていた。話しを聞くとハリーはロンに会いたくないから、透明マントを着てホグズミードへ行くと言ったらしい。
もうこの際2人の関係については身を引いて、お互いに任せた方が為になるんじゃないかと言うと、ハーマイオニーはそれだけは駄目だと首を振った。
「私達が間に入っていても碌に口すらきかないのよ?私達がいなくなったら本当にバラバラになっちゃうわ!!」
涙目でそう訴えられると、クリスは重苦しいため息を吐いて「分かったよ」と頷くしかなかった。クリスと同じく、今やハーマイオニーも限界に来ている。2人の間に挟まれて苦しい思いをしているのはクリスだけではない。クリスはハーマイオニーの肩を叩くと女子寮へと戻って行った。
そしてやって来たホグズミード行きの日、クリスはいつも通り寝坊して大広間に行くと、そこにはドラコが待っていた。またホグズミードに行くのを誘いに来たんだろう。
「やあクリス、ちょうど良かった。これからホグズミードに行くんだろう、一緒に行かないかい?」
「残念だけど、焼きもち君が待っているんでね」
「焼きもち君?」
クリスは大広間から見えるロビーの柱の陰を指さした。そこにはムスッとしたまま腕を組んでそっぽを向いているロンの姿があった。
「まさか、僕とウィーズリーなんかを秤にかけて、ウィーズリーの方が大事だって言うのかい?」
「今はな。だから悪いがホグズミードはいつもの面子で行ってくれ。じゃあな」
ドラコに向かってヒラヒラと手を振ると、クリスはロンの傍に行った。ロンは益々そっぽを向いたが、クリスを遠ざけようとはしなかった。
「お待たせ、ロン」
「べ……べつに君を待っていたわけじゃない」
「それじゃあ誰を待っていたんだ?」
「い、良いだろう別に!それで、行くの?行かないの?」
「もちろん行くとも、一緒に行こう」
ロンの手を取って、クリスはホグズミード行きの馬車に乗り込んだ。最初にハニーデュークスのお店によって、色々な味のキャンディーを試食した後、袋いっぱいチョコレートやら新商品のキャンディーを買った。
次にゾンゴの悪戯専門店に行って、あれこれ商品を見て回ったが、どれもこれもロンの気分を盛り上げてくれるものは無かった。