第11章 【4人目の代表者】
「あら、とっても素敵なバッジじゃない。彼方の少ない脳みそで考えたにしては上出来ね」
ハーマイオニーが果敢にも嫌味たっぷりに言い返した。しかしドラコは怒るどころか、その薄い唇を片方だけ上げて笑った。
「1つやろうか?グレンジャー。でも今は僕に触らないでくれないか?手を洗ったばかりなんでね、『汚れた血』で汚されたくはない」
まさに電光石火、ハリーが素早く杖を取り出した。それに応える様にドラコも杖を構えた。他の生徒達は止めるどころか待っていましたと言わんばかりに、騒ぎ立てて2人を煽っっている。
「待て!2人とも!!」
「いや、やらせよう」
クリスは2人を止めようと一歩前に出ると、その肩をロンがおしとどめた。ロンの表情は面白がっていると言うよりも、まるで共倒れの獲物を狙う獣のようだった。その顔を見て、クリスは一瞬何も言えなくなった。
その間にも、ハリーとドラコの間には一触即発の空気が漂っている。そして最後のダメ押しをドラコが言い放った。
「やらないのか?ポッター。お優しいムーディ先生がいないと何も出来ないのか?」
「減らず口を!!」
瞬きする間もなく、2人の杖から同時に閃光が放たれた。色の違う閃光が空中でぶつかり合い、折れ曲がって跳ね返ってきた。ハリーの閃光はゴイルの頭に直撃し、ドラコの閃光はハーマイオニーの顔面に直撃した。
「ハーマイオニー!!」
クリスが動くよりも早く、ロンがハーマイオニーの傍に飛び出した。
ハーマイオニーは手で口をピッタリと抑え込んでいる。一方のゴイルは両手で鼻を抑え、ヒーヒー言っている。手をどかすと、ゴイルの鼻がボツボツと気味の悪いできものが出来て、見るもおぞましい光景になっている。