第5章 昔話
先に口を開いたのは麻里だった。
「翔真君も…菜月も…いじめられてたん…だね…。」
「うん。」
「おう。だから、俺、そいつらより絶対良い人生送ってる。って、胸張って言えるわ。」
「……私は……今……いじめ…られて…ます…。」
「!…」
驚いたのは翔真だけ。
「…私は、小学校の頃から人と話すのが苦手で、いつも2人組とか作る時に余ってて……話したいのに、話しかけられなくて…無視されたらどうしよう、とか…変なこと言って気分悪くさせちゃったらどうしよう、とか、いろいろ考えちゃって、上手く人と話せなくて…。」
「…」
「小学生の時にいじめられてた子と、中学でまさかの3年間同じクラスになっちゃって…。」
「うわ…それはやべぇ…教師クソ。」
「ははは……それでその…3年間同じクラスになっちゃった子…今も同じクラスで…まさか…同じ高校に入学してくるとは思わなかったから…。」
「…誰そいつ。」
いきなり翔真の目が本気になった。
「…ま、麻衣ちゃん。って子なんだけど。」
「あー、あのケバい女。……あとで潰しとくか。」
小声で言ったの聞こえてます…。
「…それで、それでね…私…吉田君と菜月の会話聞いてて、まっすぐに生きてる人って…本当にカッコイイな。って思って…誰かの顔色とか伺わずに、ホントに自由に生きてる感じが、ホントに素敵だな。って思って…。」
「!…//////」
なんか、照れる。