第5章 昔話
「このことは、誰にも話せなかったんだけど…。」
「なんで俺に言わなかった?」
春樹は私を見つめてそう言った。
「…言えなかった…。」(春樹がやらかすんじゃないかと思ったから…。)
私は思ったことを話した。
「最初は、友達と上手くいかなくて…。この件は、私は絶対に悪くない。って思ってても、友達が離れていくのが怖くて、私の方から謝って…それでなんとか友達関係が上手くいってたんだけど、でも…その友達が、影で悪口言ってるのを聞いちゃって……人の機嫌伺いすぎ。とか、正直もううざい。とか…。」
「…」
皆、静かに聞いてくれていた。
「……正直、その時、春樹に頼ろうと思ったんだ。でも、言えなかった。それで、抱えこんで、いつか爆発しちゃうんじゃないかな。って思ってた時に、クラス全員からいじめられるようになって。」
「…」
「春樹がいない時に、ちょこちょこいじめられてて……それで、中学3年生の冬。皆受験シーズンでイライラしてたのかわからないけど、春樹がインフルにかかった時、ピークで酷いいじめに合ってた。」
「…だからお前、あん時傷だらけだったのかよ。」
「……うん。」
「…チッ…。」
春樹は俯いたまま、下唇を軽く噛んでいた。
「…中学をやっと卒業して、偶然、そのクラスの子達は誰もこの学校に入学してこなかったから、いじめは無くなったんだけど……しんどかったなぁ、っていう話。だから翔真の言うことが凄い自分に当てはまってて。仕返しとかそういうの、どうでも良くなるくらい、今が凄い楽しい!私の昔話終わり。」