第4章 体育祭
春樹と翔真は仲良くなれないと思っていた。でもそんなことはなかった。帰り道、2人でずっと声を出さずにじゃんけんをしていたり、じゃれあったりしていた。
「…どこに惹かれたの?」
「え?」
「えっと……S君の。」
S君。というのは翔真のこと。さすがに本人の前で名前は出せない。
「…か、カッコイイ…し…自分とは全然正反対で…と、とにかくカッコよくて…!」
話している時、恥ずかしそうだったけど、とても楽しそうに話していた。
「…じゃあ、また明日ね。」
「うん、バイバイ。」
「俺もこっちの道だから。じゃあな、春樹。」
「おう。」
「!?…」(い、いつの間に…。)
めちゃめちゃ仲良くなってました…。
「…翔真と仲良くなれたんだね。」
「あぁ……結構良い奴だった。」
春樹が少し微笑んでいた。お互い、やっと学校で同性の友達が出来た。
「…」
「…」
「…借り物競争。」
「…?」
「生徒会が作ったお題見てきた。」
「え…か、勝手に?」
「いや…見えただけ。」
「どんなのがあった?」
「…借り物競争、物じゃなくて人だって。」
「…え!?」
「借り者競争。」
それはそれで面白い気がする。
「楽しみだね、どんなお題があるのか。」
「あぁ…。」
それから…家に着き、制服から部屋着に着替え終わった時だった。
「菜月~!」
「何~?」
別の部屋からお母さんの声が聞こえた。大きな声で返事をした。