第1章 最悪最凶
「自販で買ってくれば?」
そう。ウチの高校には購買。というものがないのだ。物語の中ではあるのに。その代わり、ウチには菓子パンが売っている自販機がある。
「…そうしよう。」
菓子パンはあまり好きではないが、空腹には勝てない。
「…春樹。」
「何?」
「大変なことに気がついてしまったんだ、私は。」
「…まさか財布忘れたとか言わねぇだろうな?」
「大正解。」
「あほ。」
「…」
早く家に帰りたい。
「…ほら、俺の弁当やるから。」
「え…いいって…お腹すいちゃうじゃん。」
「俺が自販でなんか買うから。」
「いや…でも…。」
「それに、お前、ご飯派だろ?菓子パンあんま好きじゃねぇ。って言ってたじゃねぇか。」
「うっ…よ、よくご存知で…。」
「当たり前。何年一緒にいると思ってんだよ。」
私にお弁当を渡すと、お財布を持って教室から出ていった。
好きだな。と単純に思った。こういうことを普通にできる人は、あまりいないと思う。
*
「…」
いつまで経っても帰ってこない。お弁当も食べ終わってしまった。
「…何してるんだろ…。」
そう呟き、私は教室を出て、自販機のところへ行った。
「!…いた。春樹、何して…」
「…」
「春樹!!」
「!…」
自販機の前で腰を抜かして座っている3人の男子生徒達。春樹がその1人の胸ぐらを掴んでいた。自販機がある場所は職員室から1番遠く、自販機を利用する人以外は通らないような場所にある。