第4章 体育祭
そういえば、春樹は気づけば不良と呼ばれていた。もともと、中学生の時は喧嘩が弱かった。1度だけ、喧嘩に負けた春樹を見たことがあった。それが、春樹が初めて喧嘩をした時だった。
そのあとから喧嘩に負けた春樹は見たことがなかった。
「…強くなったね。」
「は?何言ってんのお前。」
私は春樹を抱きしめた。
「っ…。」(すっごい好き…。)
そう思った。
*
「もう大丈夫だから。」
しばらくして、春樹にそう言った。
「ん…。」
春樹は私を離してくれた。
「……どうすればいい…?」
「何が?」
「…麻里がいじめられてること…。」
「…」
「っ…助けてあげたい…。」
私は春樹の目を見て言った。
「…俺は、面倒なことには首突っ込みたくない。」
「…わかってる。」
「でも俺も、できる限りの事はする。」
「!…ありがとう!」
私は微笑んだ。
「っ…あぁ…じゃ、じゃあな。」
「うん。また明日ね。」
私は家に戻った。
「おかえり〜!どこ行ってたの?」
「あ……えっと…目当ての物がなかった…。」
「あら、そうだったの?LIMEしたのに。」
「え?」
スマホの画面を開くと、お母さんからLIMEがきていた。
「お米?」
「そうなのよ。実は…今日買いに行こうかと思ったんだけどね…すっかり忘れちゃってて…ほら、春樹君いるなら…って思ったんだけど。」
「明日の分ないの?」
「……はい。」
「えぇ…。」
「もし余ったら、って思ったんだけど、お父さんがビックリするくらい食べてね…。だから、今から行ってくるわね。」
「私…行く。」
お母さんにそう言い、お金を受け取った。