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不良君のおきにいり

第4章 体育祭


「…あぁ…。」

「っ…。」


酷いこと、たくさん言ったはずなのに……今私は…どうにかして、春樹から好かれようとしている。


この人にだけは、何があっても嫌われたくない。

そう思った。


「強く…なれてたって……思ってたの…。でも…違った……春樹がいたから…そう思ってただけだったの…。」

「…」

「1人じゃ…何も出来なくて……だから…ごめん……ごめんなさ…っ…。」


泣いちゃダメなのに。余計、嫌われるのに。


「なんで泣いてんの?」

「っ…泣いてな…ぃ…。」


すると、玄関開ける音が聞こえた。振り向くと、スマホを耳に当てた春樹がいた。


「ほら、泣いてんじゃん。」

「っ…ごめん…なさい…っ…!」

「あぁ…。」

「っう…。」


春樹が電話を切った。


「ほら、もう泣くなって。な?」

「泣いて…ない…っ…!」

「じゃあこれ何?」


春樹は私の頬を指で触った。すると、春樹の指には水滴が付いていた。


「っ…汗っ…。」

「嘘つけ。」


春樹が笑っていた。


「…おいで?」

「っ…。」


泣いていると、春樹は絶対に抱きしめてくれる。小さい頃からそうだった。


「…なんで、春樹は泣いてると抱きしめてくれるの…?」

「やっぱ泣いてたんじゃん。」

「うるさい。」

「フッ…。」


私を抱きしめたまま、春樹は説明してくれた。


「母さんが言ってた。弱っている人がいたら、必ず抱きしめてあげて。って…だから、親父のDVで苦しんでいた母さんを抱きしめた。そん時、母さん、声が枯れるくらい俺の腕の中で泣いてた。」

「…」

「…だから、俺は泣いてる奴がいたら抱きしめんの。特にお前はな。」

「!…///////」


顔が熱くなっていった。

ただ、春樹が抱きしめる。と言っても、親しい人だけだろう。道端で泣いている男の子がいても、頭を撫でるだけだった。
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