第4章 体育祭
「あ、私の家ここだから。」
「あ、うん。じゃあね。」
「バイバイ、また明日ね。」
「…じゃあな。」
「うん、バイバイ。」
麻里の家は、私達の帰り道にあるマンションだった。しかも38階建ての最上階に住んでいるらしい。
もしかしたらめちゃくちゃお金持ちなのかも。そう思った。
「んで、アイツどうしたんだ?」
「え?」
「いじめ、受けてんだろ?」
「!…な、なんでそのこと…。」
「前からそうだった。てか、夏くらいから?3人組の女子にめっちゃ暴力とか振るわれてんの。いつ学校来なくなんのかなーって思ったけど、逃げねぇでちゃんと来てるし。」
「なんで気づいてたのに助けてあげなかったの!?」
「…俺関係ねぇし。」
「っ…でも、クラスの子が困ってたら助けてあげるのが普通じゃないの?」
春樹に腹が立って、立ち止まった。すると、少し前を歩いていた春樹も止まった。
「…なんで?」
「!…え?」
「なんで助ける必要があんの?俺は正義の味方かなんか?」
「っ…。」
「じゃあもし俺が助けたとして、アイツのいじめは無くなったと思う?無くなるわけねぇじゃん。女子って、ちょっとやそっと注意したくらいじゃ、まだ平気まだ平気って思って、今まで通りか、それか悪化する生き物なんだし。」
「…わかったような口…きかないでよ…。関係なくても助けたいって思って悪いの!?」
「そんなこと一言も言ってねぇよ。ただ、俺には関係ないと思っただけ。お前にはお前の考え方があんだから、わざわざ俺を巻き込む必要はねぇんじゃねぇの?」
「っ…。」
そうだ。結局私は、どうにかして春樹と一緒に行動しようとして、面倒なことは全部春樹に任せて…。
本物の弱虫だ。