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不良君のおきにいり

第4章 体育祭


春樹が私を睨みつけた。


「春樹ぃ…そこをなんとか…。」

「ダメだ。」

「っ…う…。」


譲らないらしい。

結局私は、宿題忘れとして数学の授業を終えた。


「帰んぞ。」

「うん。」


放課後になり、靴箱に行って、靴を履き変えようとした時に気づいた。


「筆箱忘れた。」

「家にあるの使えば?」

「いや、あの中にメモ用紙入ってるから。いろいろメモしたやつ。ちょっと取ってくる。」

「カバン持っとくから。」

「ありがと!」


私は教室に行った。ドアが閉まっていたので開けようとした時だった。


「うぜぇんだよ!」

「ご、ごめん…なさい…。」

「!…」


蹴られている音が聞こえる。謝っている声は麻里の声だった。


「っ…。」


正直、怖くて教室に入る勇気がなかった。でも、守る。と言った。絶対に守る。と。

私は勇気をふりしぼり、教室のドアを開けた。


「何…してるの…!?」


震えていた声。


「っぁ…菜月…。」


ボロボロと泣いている麻里と、麻里を踏みつけている3人組の1人の女子。


「うわ、またお前かよ。」

「うっざ…。」

「…やめて…あげて…。」

「はぁ?」

「何?」

「聞こえないんですけどー!」

「っ…。」


少しでも、自分は強くなれた。そう思っていた。でも全然違う。それは、春樹がいたから、強くなれたと勘違いをしていたのだ。
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