第4章 体育祭
今、クラスには私と麻里の2人しかいなかった。他の皆は委員会の仕事や他のクラスに行ったりなどしていて、いなかった。だからこそ、あの3人組は今、来たのだろう。
「…絶対に、守るから。」
「!…」
「もう、こんな苦しい思いしなくても済むように、私が、絶対麻里のこと守るから。」
「…ふふっ…ありがとう。でも、菜月。その気持ちだけで充分だよ。ありがとうね。やっぱり、凄いや。」
微笑んでいるけど、明らかに作り笑いだし、今にでも泣き出しちゃいそうだった。
「っ…。」
どうしてもっと早く、気づいてあげられなかったのだろう。彼女がいつからいじめを受けていたのか知らないが、ずっと苦しい思いをしていたのだろう。他にも、もっとこうして苦しんでいる人がいるはず。
それから、お昼休みが終わり、午後の授業が始まろうとしていた。
「…」(でも、守る。って言ったって…どうやって守ればいい?)
「何?悩み事?」
頬杖をついて、こちらを向きながら、春樹が言ってきた。
「うん…ちょっとね…。」
「何?言ってみ?」
「…」
本人が前にいるのに、話せるわけがない。
「あとで話す。」
「…そか。」
「はーい、席に着いてー!数学始めるよー。」
数学の授業。これが終わったら今日の授業は終わり。
「…」(数学…嫌いなんだよね…。)
「菜月、プリントやってきた?」
「…あ…。」
実は宿題として出されていた数学のプリントがあった。
「やってない…。」
「み、見せようか?」
「ホントに!?ありが」
「ダメだ。」
「げっ…春樹…。」
「コイツは自分でやらないと頭悪ぃのがさらに悪くなる。佐藤、コイツを甘やかすな。」