第4章 体育祭
席を移動した。
「…俺、席変わんねぇんだけど。」
「あ、確かに…。」
春樹は前の場所と席が変わらない。
「菜月ちゃん…!」
「…?」
前の席の子に話しかけられた。
「わ、私……佐藤…麻里っていうの…あの…っ…ずっと話してみたくて…。」
きっと、この子は勇気を出して話しかけてきてくれたのだろう。そんな子に向かって……。
「…」(春樹…その視線はダメだよ…。)
麻里のことを睨みつけている。
「あ、えっと…どうして私と話してみたかったの?」
「っ…そ、それは…あとで話してもいい…?」
「あ、うん。」
話しづらかったのだろう。春樹の前の席の子はビクビクしている。でも彼も茶髪でピアスが1つずつ両耳にあいている。
「はーい、それじゃあ次は、係決めるから、学級委員よろしく~。」
「はい。体育祭の準備の係を決めたいと思います。そのあとに競技のこととかやるので!」
黒板に書かれていく係の名前。
主に、準備、委員会の2つの係を決めなければならない。
そして、私が選んだのは……。
準備→ライン引きや前日の用具の準備。
委員会→保健・救護。
「じゃあ休み時間にしていいよ~。次の時間はリレーの順番決めるからね~。」
担任の先生は、この学校の教師の中で、唯一春樹にビビらない先生なのだ。
「そういえば春樹!黒染めにしてきて偉かったね!髪もばっさり切って!」
「…」
「菜月が言ったの?」
「いや…まぁ…そうなんです…かね…?」
「偉いね~!」
「うるせぇよ。」
そう言いながらも少し照れていた。