第1章 最悪最凶
「いつか結ばれる。そう思っているだけじゃ何も変わらないわよ?」
「はい。……ん?ところで、どうして佐藤さんは私の悩みが恋だってこと…。」
「あら!恋だったの!?当たってたみたいで良かったわ〜!それじゃあ、頑張ってね!」
「!…」
まんまとはめられたみたいです。佐藤さんは予想をしていただけだったらしい。にしても佐藤さん凄い。
*
「…」(あと30分…。)
時計を見るとあと30分で閉店だった。
「いらっしゃいませ〜。」
「あのぉ〜、すみませ〜ん。」
「はい。」(お酒臭っ…。)
真っ赤なヒールを履いていて、下着が見えそうなくらい丈の短いスカートを履いている女性。
「ヘアスプレーってありますかぁ〜?」
足元がふらついていた。
「あ……ご案内いたしますね。」
「おい梨沙、お前何やって…」
「!…」
聞き覚えのある声。
「あっ、春樹ぃ〜。あのねぇ〜、ヘアスプレーを〜!」
ふらついたまま春樹の腕を組んだ。
「…場所、俺知ってるから。」
私に言ったのか、彼女に言ったのかわからないけど、とりあえず案内はしなくてよさそうだった。
「先輩、ちょっと来てもらってもいい…ですか…?わからないところあって…。」
「!…あ、はい。」
それは、先月入ったばかりの同い年の子だった。彼もまた、かなりカッコよくて、綺麗な顔をしている。
「どこですか?」
「これって…どうやって操作すればいいですか?」
そして彼は身長が高い。187cm。たいていの人が見上げる。
「!…先輩、頭にホコリ付いてますよ。」
「え?」
「…ほら。」
ホコリを取って見せてきた後輩君。
「ありがとう。気づかなかった。」
私は微笑んでお礼を言った。